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在宅医療を科学する23~「そこに誰かいる?」パーキンソン病の幻視と実在感(FP)の違いを知る

  • 6 分前
  • 読了時間: 3分

こんにちは。さくら在宅クリニックです。

パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、「知らない人が立っている」「誰かが後ろにいる気がする」といった、目に見えないはずのものを訴えられることがあります。

これらは単なる「気のせい」や「認知症の進行」だけではなく、脳の神経ネットワークが関係して起こる特有の症状です。「幻視」「実在感(Feeling of Presence:FP)」の違いについて解説します。

1. 「幻視」とは:実際にはないものがハッキリ見える

幻視は、実際には存在しないものを、あたかも「見えている」と確信する知覚体験です。

視覚系の異常活動や、目から入った情報を正しく統合できない障害によって生じます。

  • 主な原因疾患: レビー小体型認知症(典型的)やパーキンソン病、薬剤の影響(抗コリン薬など)。

  • 脳の仕組み: 視覚情報を処理する「視覚連合野」の過剰な活動や、注意機能のネットワークの解離が関わっています。

2. 「幻視」と「実在感(FP)」の違い

「見える」という体験は、その鮮明さや本人の受け止め方によって大きく2つに分けられます。

比較項目

幻視(Visual Hallucination)

実在感(Feeling of Presence:FP)

訴えの内容

「孫の姿が見える」など具体的な姿

「誰かがいる気がする」という感覚

本人の洞察

実際にはいないと理解(洞察)している

実在を信じる傾向が強い

本人の行動

仏壇に手を合わせるなど冷静に対応

孫の布団を準備するなど、実在に基づいた行動

感情の状態

恐怖を感じることは少ない

不安や緊張が強い

環境の影響

施設へ入所しても持続することがある

施設入所後に消失することが多い

3. なぜこのような違いが起こるのか

幻視の場合、患者様は「目には見えているが、実際にはそこに人はいない」と客観的に判断できることが多いのが特徴です。

一方で、実在感(FP)の場合は「見えないけれど、絶対に誰かいる」と確信し、その存在に強く固執したり、強い不安を感じたりする傾向があります。

脳内では、視覚そのものの異常だけでなく、「注意を向けるネットワーク」と「存在を感じるネットワーク」がうまく噛み合わなくなることで、こうした不思議な現象が引き起こされます。

まとめ

ご家族が「知らない人がいる」と言い出したとき、それはハッキリ見えている「幻視」なのか、気配を感じている「実在感」なのかを見極めることが、適切なケアの第一歩となります。

特に不安が強い「実在感(FP)」の場合、本人は本当に誰かいると信じているため、否定せずに安心感を与える対応が求められます。

こうした症状でお困りの際は、一人で抱え込まずに専門スタッフへご相談ください。

 

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