在宅医療を科学する23~「そこに誰かいる?」パーキンソン病の幻視と実在感(FP)の違いを知る
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こんにちは。さくら在宅クリニックです。
パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、「知らない人が立っている」「誰かが後ろにいる気がする」といった、目に見えないはずのものを訴えられることがあります。
これらは単なる「気のせい」や「認知症の進行」だけではなく、脳の神経ネットワークが関係して起こる特有の症状です。「幻視」と「実在感(Feeling of Presence:FP)」の違いについて解説します。
1. 「幻視」とは:実際にはないものがハッキリ見える
幻視は、実際には存在しないものを、あたかも「見えている」と確信する知覚体験です。
視覚系の異常活動や、目から入った情報を正しく統合できない障害によって生じます。
主な原因疾患: レビー小体型認知症(典型的)やパーキンソン病、薬剤の影響(抗コリン薬など)。
脳の仕組み: 視覚情報を処理する「視覚連合野」の過剰な活動や、注意機能のネットワークの解離が関わっています。
2. 「幻視」と「実在感(FP)」の違い
「見える」という体験は、その鮮明さや本人の受け止め方によって大きく2つに分けられます。
比較項目 | 幻視(Visual Hallucination) | 実在感(Feeling of Presence:FP) |
訴えの内容 | 「孫の姿が見える」など具体的な姿 | 「誰かがいる気がする」という感覚 |
本人の洞察 | 実際にはいないと理解(洞察)している | 実在を信じる傾向が強い |
本人の行動 | 仏壇に手を合わせるなど冷静に対応 | 孫の布団を準備するなど、実在に基づいた行動 |
感情の状態 | 恐怖を感じることは少ない | 不安や緊張が強い |
環境の影響 | 施設へ入所しても持続することがある | 施設入所後に消失することが多い |
3. なぜこのような違いが起こるのか
幻視の場合、患者様は「目には見えているが、実際にはそこに人はいない」と客観的に判断できることが多いのが特徴です。
一方で、実在感(FP)の場合は「見えないけれど、絶対に誰かいる」と確信し、その存在に強く固執したり、強い不安を感じたりする傾向があります。
脳内では、視覚そのものの異常だけでなく、「注意を向けるネットワーク」と「存在を感じるネットワーク」がうまく噛み合わなくなることで、こうした不思議な現象が引き起こされます。
まとめ
ご家族が「知らない人がいる」と言い出したとき、それはハッキリ見えている「幻視」なのか、気配を感じている「実在感」なのかを見極めることが、適切なケアの第一歩となります。
特に不安が強い「実在感(FP)」の場合、本人は本当に誰かいると信じているため、否定せずに安心感を与える対応が求められます。
こうした症状でお困りの際は、一人で抱え込まずに専門スタッフへご相談ください。




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