在宅医療を科学する20~パーキンソン病と向き合う:幻視への理解と、命を守る「お口のケア」
- 1 日前
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パーキンソン病(PD)といえば、手のふるえや歩きにくさといった「体の動き(運動症状)」がまず思い浮かぶかもしれません。しかし、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に患者様やご家族を悩ませるのが、「幻視」や「認知機能の変化」といった目に見えにくい症状です。
今回は、パーキンソン病に伴うこれらの症状との向き合い方についてお話しします。
1. 実際にはないものが見える「幻視」と「気配感」
パーキンソン病の比較的早い段階から現れることがあるのが、幻視や気配感です。
幻視: 「部屋の隅に知らない人が立っている」「壁のシミが虫に見える」といった、実際には存在しないものが見える症状です。
気配感: 誰もいないのに「すぐ後ろに誰かがいる気がする」「横を誰かが通り過ぎた気がする」と感じる現象です。
これらは脳内の情報のやり取りがスムーズにいかなくなることで起こる、病気特有の症状です。「本人の意識がしっかりしているのに、おかしなことを言う」と驚かれるかもしれませんが、「脳が見せている症状」であることを理解することが第一歩です。
2. 「物忘れ」とは少し違う認知機能の変化
パーキンソン病における認知機能の変化は、いわゆるアルツハイマー型の物忘れとは少し性質が異なります。
特徴的なのは、「注意機能」の低下です。
複数のことを同時にこなすのが難しくなる
集中力が続かなくなる
視覚情報の処理がうまくいかず、距離感が掴みにくくなる
例えば、認知機能の全体的なスコア(MMSEなど)が良くても、特定の「注意を払う作業」だけが極端に苦手になることがあります。これはパーキンソン病特有の認知の揺らぎといえます。
3. 「日による変動」があることを知っておく
パーキンソン病の精神・認知症状の大きな特徴は、「良い時と悪い時の波がある」ことです。 昨日は幻視が見えて混乱していたのに、今日は非常にしっかりしている、といった変動がよく見られます。
この「波」に一喜一憂しすぎず、「今日は調子が悪い日なんだな」と構えることで、ご家族の介護負担を少しでも軽くできるかもしれません。
4. 適切な対応と専門家への相談
幻視や認知機能の変化は、お薬の調整(ドーパミン製剤の量など)によって改善する場合もあります。
「こんなことを言ったら認知症だと思われてしまう」とひとりで抱え込まず、ぜひ私たち専門スタッフに相談してください。ご本人の「見えている世界」を否定せず、今の状態に最適なお薬のバランスや環境設定を一緒に考えていきましょう。




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