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在宅医療を科学する18~失禁関連皮膚炎(IAD)とは?褥瘡(床ずれ)との見分け方と発生のメカニズム

  • 1 日前
  • 読了時間: 2分

日々の介護現場で直面することの多いおむつかぶれですが、専門的にはIAD(失禁関連皮膚炎)と呼ばれます。一見、褥瘡(床ずれ)と似ていますが、その原因や対処法は大きく異なります。

今回は、IADが起こる仕組みと、褥瘡との適切な見分け方について図解とともに解説します。

1. IADと褥瘡、どう見分ける?

適切なケアを行うためには、まず目の前の皮膚トラブルがIADなのか褥瘡なのかを正しく鑑別することが重要です。

比較項目

おむつかぶれ(IAD)

褥瘡(床ずれ)

発生部位

排泄物が接触する広範囲

骨が突出している部位に一致

範囲

拡散的(広がりがある)

限局的(部分的)

皮膚の特徴

主に発赤

紫斑や黒色壊死が見られることもある

深さ

真皮まで

皮下組織や筋層に及ぶこともある

2. IADが発生するドミノ倒しのメカニズム

IADは、おむつ内の過酷な環境によって皮膚のバリア機能が崩壊することで起こります。そのプロセスは以下の通りです。

  1. 浸軟(ふやけ):おむつ内の高温多湿環境により、皮膚がふやけます。

  2. バリア機能障害:ふやけた皮膚はバリア機能が低下し、経皮水分蒸散量(TEWL)が上昇します。

  3. 化学的・機械的刺激:そこへ便や尿による化学的刺激と、おむつの摩擦やずれによる機械的刺激が加わります。

  4. pHの上昇と細胞損傷:皮膚のpHバランスが崩れ、角化細胞が損傷します。

  5. 炎症の悪化:サイトカインやヒスタミンが放出され、炎症が連鎖的に増加していきます。

最終的には、表皮の欠損やびらん(ただれ)、水疱、さらには緑膿菌や真菌(カビ)の侵入を許すことにつながります。

3. まとめ:予防と早期対応が鍵

IADの予防には、おむつ内の湿気を取り除くこと、排泄物の刺激を最小限に抑えるための保護、そして摩擦を避ける優しい洗浄が欠かせません。

「いつものかぶれ」と見過ごさず、発生メカニズムを理解した適切なスキンケアを心がけましょう。

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