在宅医療を科学する16~なぜ高齢者は「おむつかぶれ」になりやすい?IADのメカニズムと皮膚の特徴
- 賢一 内田
- 3 時間前
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介護の現場で多くの方が悩まれる「おむつ周りの赤みやただれ」。これは単なる肌荒れではなく、IAD(失禁関連皮膚炎)という皮膚障害です。
なぜ高齢になると皮膚トラブルが起きやすくなるのか? そのメカニズムと高齢者特有の皮膚の状態について解説します。
1. 高齢者の皮膚はなぜ「弱くて脆い」のか?
加齢とともに、私たちの皮膚は外からの刺激に非常に弱くなります。主な特徴は以下の通りです。
バリア機能の低下: 皮脂の欠乏や細胞間の脂質が減ることで、外からの刺激を通しやすくなります。
皮膚の菲薄化(ひはくか): 皮膚が薄くなり、わずかな摩擦やズレでも傷つきやすくなります。
免疫力の低下: 細菌やカビなどの感染症に対する抵抗力が落ちています。
感覚の鈍化: 痛みや不快感に気づきにくく、発見が遅れることがあります。
2. IAD(失禁関連皮膚炎)発症のメカニズム
IADは、尿や便が皮膚に長時間接触することで起こりますが、その裏には複数の悪循環が潜んでいます。
① 皮膚の「ふやけ(浸軟)」
尿や便に含まれる水分によって、皮膚が白くふやけた状態になります。ふやけた皮膚はバリア機能が著しく低下し、少しの刺激で剥がれやすくなります。
② アルカリ性への変化
本来、皮膚は弱酸性に保たれていますが、尿中のアンモニアや便中の酵素が皮膚に触れると、表面がアルカリ性に傾きます。これにより、細菌が繁殖しやすくなり、炎症が加速します。
③ 消化酵素によるダメージ
特に下痢便に含まれる「消化酵素」は、直接的に皮膚のタンパク質を破壊します。これが、強い赤みや「びらん(ただれ)」を引き起こす大きな要因です。
3. 多因子が絡み合うトラブル
IADは単なる「不潔」だけが原因ではありません。
物理的刺激: おむつとの摩擦、清拭時のこすりすぎ。
化学的刺激: 便・尿の成分。
微生物: 湿った環境で増殖する真菌(カビ)など。
これらが高齢者の脆い皮膚に同時に襲いかかることで、重症化しやすくなります。
まとめ:予防のために大切なこと
高齢者の皮膚は「薄く、乾燥し、傷つきやすい」という前提に立ち、「汚れを優しく落とす(洗浄)」「皮膚を保護する(保湿・撥水)」「過度な摩擦を避ける」というスキンケアの基本が何よりの予防になります。
「赤みが引かない」「本人が痛がっている」といった場合は、早期に専門職へ相談しましょう。




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