在宅医療を科学する14~なかなか治らないおむつかぶれ、実は「IAD(失禁関連皮膚炎)」かもしれません
- 賢一 内田
- 4 時間前
- 読了時間: 2分


在宅療養において、ご家族や介護スタッフ様を悩ませるトラブルの一つに「皮膚の赤みやただれ」があります。「いつものおむつかぶれかな?」と市販薬を塗ってもなかなか改善しない場合、それは単なる“かぶれ”ではなく、IAD(失禁関連皮膚炎)という状態かもしれません。
今回は、治療に難渋したある女性のケースを通して、IADの正体とその対策について解説します。
1. 治療に難渋した症例(Case 2)
ある女性の患者様は、偽膜性腸炎や尿路感染症を繰り返し、入退院を重ねておられました。ようやく自宅退院となりましたが、その後、皮膚の状態が急激に悪化してしまったのです。
ご家族や訪問スタッフが、抗菌外用剤や抗真菌外用剤、最新のドレッシング材(被覆材)、さらには水分を弾く撥水系外用剤など、あらゆる手段を試しました。しかし、皮膚の状態は一向に改善せず、広範囲にわたる強い赤み(紅斑)や、皮膚が剥けてジュクジュクとした「びらん」が広がってしまいました。
2. IAD(失禁関連皮膚炎)とは何か?
この患者様のように、尿や便(あるいはその両方)が長時間皮膚に接触し続けることで生じる皮膚炎のことをIAD(Incontinence-Associated Dermatitis)と呼びます。
IADには、以下のような様々な病態が含まれます。
おむつ皮膚炎
アレルギー性接触皮膚炎
物理化学的皮膚障害
表在性真菌感染症(カビによる感染)
症状としては、単なる赤み(紅斑)だけでなく、皮膚がめくれる「びらん」、さらには深い傷となる「潰瘍」、そして強い痒みや痛みを伴うのが特徴です。
3. 単なる“かぶれ”ではないという認識
大切なのは、IADを単なる一時的な“かぶれ”と軽く見ないことです。これは、排泄物による化学的な刺激や細菌の影響、さらにはおむつ内の蒸れなど、多くの要因が複雑に絡み合って起こる「多因子性の炎症性皮膚障害」なのです。
特に、下痢を繰り返していたり、免疫力が低下していたりする状態では、皮膚のバリア機能が壊れやすく、一度悪化すると治療に非常に時間がかかります。
4. まとめ
「薬を塗っているのに治らない」「どんどん赤みが広がっている」という場合は、放置せずに早めにご相談ください。洗浄方法の見直しや、排泄ケアの工夫、そして病態に合わせた適切な外用剤の選択など、専門的な視点からのアプローチが必要です。
さくら在宅クリニックでは、患者様の皮膚トラブルに対しても、日々の生活環境を含めたトータルなサポートを行ってまいります。




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