top of page

在宅医療を科学する12~【重要】血糖値が「正常」でも油断禁物?SGLT2阻害薬と「正常血糖性ケトアシドーシス」

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 19 分前
  • 読了時間: 2分

糖尿病の治療を受けている方、特にSGLT2阻害薬を内服されている皆様へ。

「血糖値がそれほど高くないから大丈夫」と思っていても、実は体の中で深刻な状態が起きているかもしれません。

今回は、見逃されやすい「正常血糖性ケトアシドーシス(euglycemic DKA)」について解説します。

1. 「正常血糖性」ケトアシドーシスとは?

通常、糖尿病の急性合併症である「ケトアシドーシス(DKA)」は、血糖値が300mg/dL以上の著しい高血糖を伴います。

しかし、SGLT2阻害薬を服用している場合、血糖値が150~200mg/dL程度、あるいは250mg/dL以下の「正常~軽度上昇」にとどまっているにもかかわらず、血液が酸性に傾く「アシドーシス」という危険な状態に陥ることがあります。これが「正常血糖性」と呼ばれる理由です。

2. なぜ血糖値が上がらないのに危険なの?(SGLT2阻害薬の影響)

SGLT2阻害薬は尿から糖を出す薬ですが、その影響で体の中では以下の連鎖が起きることがあります。

  1. 尿から糖が排泄される。

  2. インスリンが低下し、逆にグルカゴンが増加する。

  3. 体内の脂肪分解が促進される。

  4. 脂肪から「ケトン体」が過剰に作られ、血液中に蓄積する。

通常のDKAに比べ、正常血糖性DKAではケトン体がより顕著に増加(↑↑↑↑)するのが特徴です。

3. 見逃さないための臨床的特徴

血液検査では、以下のような特徴が見られます。

項目

特徴

血糖値

正常~軽度上昇(≦250 mg/dL)

ケトン体

高値(血中β-ヒドロキシ酪酸の上昇)

血液 pH

低下(アシドーシス)

HCO₃⁻

低値

AG(アニオンギャップ)

増加

4. 注意すべきポイントとサイン

血糖値だけでは見逃されてしまうため、ご自身やご家族が以下のサインに気づくことが重要です。

  • 体調の異変に注意: 嘔気(吐き気)、嘔吐、倦怠感(だるさ)がある。

  • 「シックデイ」は特に要注意: 食事摂取が低下している時、脱水時、感染症にかかっている時はリスクが高まります。

SGLT2阻害薬は非常に優れたお薬ですが、血糖値が正常であっても「ケトン体増加+アシドーシス」を来す可能性があることを知っておいてください。

「いつもと違うだるさがある」「吐き気がする」と感じたら、血糖値の数字に関わらず、早めに医療機関へ相談しましょう。


コメント


© 2021 湘南在宅研究所 All Rights Reserved.

情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬を処方しておりません

bottom of page