攻めの栄養療法を科学する62~
- 賢一 内田
- 1 日前
- 読了時間: 2分

在宅医療や急性期ケアにおいて、既製品のバッグだけでは対応しきれない特殊な病態があります。今回は、水分量を極限まで抑えたい時や、カリウム制限が必要な時の「攻めの処方設計」について解説します。
1. 水分量を制限しつつ高エネルギーを届ける「手作りTPN」
心不全や腎不全など、投与できる水分量に厳しい制限がある場合、既製品では栄養量が不足しがちです。
濃縮処方の設計: 50%ブドウ糖液、高濃度アミノ酸製剤(アミゼットB)、脂肪乳剤(イントラリポス20%)を直接組み合わせることで、水分量を大幅にカットできます。
減量の実例: 標準的なTPNで1,800mLかかる栄養量(約1,640kcal)を、この設計により1,300mLまで圧縮可能です。
注意点: この「手作り」の場合は、ビタミン剤や微量元素だけでなく、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウムなどの電解質を病態に合わせて個別に添加し、厳密にモニタリングする必要があります。
2. カリウム制限が必要な時の「攻めのPPN」
末梢点滴(PPN)の施行中にカリウムを制限しなければならない局面があります。ここで「アミノ酸を含まない点滴」に変更してしまうのは、栄養学的に不適切(筋肉の分解を招く)です。
カリウムフリー・セット処方: 当院では、カリウムのみを除去しながら、通常のPPNと同等の栄養(エネルギー・アミノ酸・脂質)を投与できるセット処方を標準化しています。
実際の投与方法: 生理食塩水でルートを確保しつつ、側管からブドウ糖、ナトリウム、アミノ酸、脂質をそれぞれ適切な速度で同時投与します。
3. 「セット処方」が支える標準的な栄養管理
どの医師も適切かつ迅速に処方できるよう、当院ではこれらの複雑な設計を「セット処方」として共通言語化しています。
メリット: セット名でオーダーできるため、ミスが減り、かつ十分なアミノ酸量を確保した「身体機能の向上を目指す栄養管理」が誰でも実施可能になります。
普及の効果: この取り組みにより、アミノ酸製剤や脂肪乳剤の使用が適切に増加し、患者様の低栄養改善に大きく寄与しています。
高度な栄養管理を身近に
私たちは、既製品では対応が難しい複雑な症例に対しても、医学的根拠に基づいた「攻めの処方」で応えます。




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