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在宅医療を科学する8~糖尿病治療の落とし穴?SGLT2阻害薬と「正常血糖ケトアシドーシス」

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

現在、多くの糖尿病患者さんに処方されているSGLT2阻害薬。血糖を下げるだけでなく、心不全や腎不全の予後改善にも効果がある非常に優れたお薬ですが、使用にあたっては正しく知っておくべき副作用があります。

今回は、近年注目されている副作用のひとつ、**「SGLT2ケトーシス」**について解説します。

1. SGLT2ケトーシスとは?

通常、糖尿病の重篤な合併症である「ケトアシドーシス」は、著しい高血糖(300〜500mg/dL以上)を伴うのが一般的です。

しかし、SGLT2阻害薬を服用している場合、血糖値がそれほど高くない(200mg/dL以下)にもかかわらず、体内の「ケトン体」が異常に増えて血液が酸性に傾く**「正常血糖性ケトアシドーシス(euglycemic DKA)」**という特殊な状態に陥ることがあります。これが臨床上、非常に重要な注意点です。

2. なぜ血糖値が正常なのにケトーシスが起こるのか

SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管でのグルコース再吸収をブロックし、尿から糖を排出させることで血糖を下げます。

この時、体は「糖が足りない」と判断し、エネルギー源を糖から脂肪の分解へと切り替えます。脂肪が分解される際に生成されるのが「ケトン体」です。糖が尿へ逃げ続けるため血糖値は上がりませんが、裏側では脂肪が燃え続け、ケトン体が蓄積してアシドーシスを引き起こしてしまうのです。

3. 注意すべきタイミング(シックデイ・ルール)

特に以下のような状況では、ケトーシスのリスクが高まります。

  • 食事摂取不足(絶食状態): 糖の供給が途絶えるため。

  • 過度な糖質制限: 脂肪分解が加速するため。

  • 手術前後や重症感染症: 体のストレスが強く、インスリンの働きが弱まるため。

こうした「シックデイ(体調が悪い日)」には、自己判断で服用を続けるのではなく、一旦休薬するなどの適切な判断が必要です。

まとめ:安全な糖尿病治療のために

SGLT2阻害薬は、正しく使えば非常に恩恵の大きい薬剤です。しかし、吐き気や倦怠感、息苦しさといった症状が出た場合、血糖値が正常であってもケトアシドーシスを疑う必要があります。

当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルや体調に合わせ、きめ細やかな薬剤管理と栄養指導を行っています。

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