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在宅医療を科学する24~「そこに誰かいる?」幻視と実在感(FP)の違いと脳のメカニズム

  • 8 分前
  • 読了時間: 3分
こんにちは。さくら在宅クリニックです。
こんにちは。さくら在宅クリニックです。

パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、実際にはいないはずの「人」や「気配」を感じることがあります。これらは脳の働きの変化によって起こる症状であり、大きく分けて「幻視」「実在感(FP)」の2つのパターンがあります。

今回は、それぞれの特徴と脳内で何が起きているのかについて解説します。

1. 「幻視」と「実在感(FP)」はどう違う?

患者様が「誰かいる」と訴えられた際、その体験の質によって以下のような違いがあります 。

比較項目

幻視 (Visual Hallucination)

実在感 (Feeling of Presence: FP)

訴えの内容

「孫の姿が見える」など具体的・鮮明

 

 

「誰かがいる気がする」という感覚

 

 

本人の洞察

実際には存在しないと理解している

 

 

実在を信じる傾向がある

 

 

主な行動

仏壇に手を合わせるなど冷静な対応

 

 

孫の布団を準備するなど、存在に固執した行動

 

 

感情の状態

恐怖を感じることは少ない

 

 

不安や緊張が強い

 

 

環境の影響

施設へ入所した後も持続することがある

 

 

施設への入所後に消失することが多い

 

 

2. 幻視が起こる脳の仕組み

なぜ、実際には存在しないものが「見えて」しまうのでしょうか。それには脳の複数の領域が関わっています 。

  •  

    視覚連合野の過剰活動: 目から入った情報を処理する「視覚連合野(V2~V5)」が、外部からの刺激がないにもかかわらず過剰に働いてしまいます 。

  •  

    イメージ生成系の過活動: 視覚入力が低下する一方で、脳内でイメージを作り出すシステムが過剰に働いてしまう状態です 。

  •  

    ネットワークの連結異常: 視覚を司る領域と、記憶や感情を司る領域(前頭葉、海馬、側頭葉)との連結に異常が生じます 。

  •  

    「注意」と「実在感」の解離: 「何かに注意を向けるネットワーク」と「存在を感じるネットワーク」がバラバラに働いてしまう(解離)ことが原因の一つです 。

これらを例えるなら、「脳内の配線が混線したり漏電したりして、突然変な動きをしてしまうロボット」のような状態といえます 。

3. 主な原因疾患

幻視は、主に以下のような疾患や状況で認められます 。

  •  

    レビー小体型認知症 (DLB): 典型的で、鮮明・詳細な人物幻視が多くみられます 。

  •  

    パーキンソン病・パーキンソン症候群 

  •  

    加齢性視覚障害 (Charles Bonnet 症候群) 

  •  

    薬剤性: 抗コリン薬、L-DOPA、ステロイドなどの影響

まとめ

「幻視」や「実在感(FP)」は、ご本人の性格や気のせいではなく、脳の神経ネットワークの混線によって生じる医学的な症状です。

特に「実在感(FP)」の場合は、本人がその存在を信じて不安が強くなる傾向があります 。ご家族や周囲の方は、ご本人が見えている世界を頭ごなしに否定せず、まずは「そのように感じている」という事実を受け止め、安心感を与える対応が大切です。

気になる症状がある場合は、一人で抱え込まずに専門の医療機関へご相談ください。


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