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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する33~エコーで判断できること ― 内シャント(AVF)の評価

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 1 日前
  • 読了時間: 2分

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透析患者さんにとって、**バスキュラーアクセス(VA)は命綱ともいえる血液の出入り口です。本邦では、自己血管を利用した内シャント(AVF: arteriovenous fistula)**が最も多く、透析患者の約9割がAVFで治療を受けています。

今回は、エコーを用いたAVF(内シャント)の評価についてまとめます。

内シャントに求められる条件

AVFをはじめとする内シャントには、以下の条件が必要です。

  • 透析に十分な血流が得られる

  • 穿刺しやすい血管がある

  • 管理が比較的容易である

  • 合併症が少ない

  • 長期に使用可能である

まずは理学所見が基本

エコー評価に入る前に、最も大切なのは理学所見です。

  • 見る:シャント静脈の走行、血管拡張、瘤の有無を観察

  • 聴く:シャント音の大きさ・連続性・高低で狭窄を推測

  • 触る:指先で感じる“スリル(ざわざわ感)”で血流状態を把握

狭窄部では、前後でスリルの性状が異なるため、触診だけでもある程度の部位推定が可能です。

エコーでできるシャント評価

理学所見で得られる情報は全体の7~8割ですが、より正確に知るためにはエコーが有効です。エコーによる評価は大きく機能評価形態評価に分けられます。

① 機能評価

上腕動脈血流量

  • 脱血量200mL/分を得るには、少なくとも350mL/分以上の血流が必要。

  • 上腕動脈血流量が500mL/分以下になると、シャント機能低下を疑います。

  • 脱血不良のカットオフ値は 350mL/分

ただし、測定値には末梢循環血流も含まれるため、必ずしもシャント血流量と一致するわけではありません。

血管抵抗指数(RI: Resistance Index)

  • RI = (収縮期血流速度 - 拡張末期血流速度) ÷ 収縮期血流速度

  • 値は0〜1の範囲をとり、高いほど血管抵抗が強いことを示します。

  • RI 0.6以上 → 狭窄の可能性あり

  • RI 0.7以上 → 治療介入を検討

  • シャント閉塞時は RI ≈ 1 となります。

② 形態評価

  • 血管径、壁の性状、狭窄部位の描出

  • 瘤や血管拡張の確認

まとめ

  • 理学所見(見る・聴く・触る)が第一歩

  • エコーでは血流量やRIを測定し、狭窄や機能低下を客観的に評価できる

  • 上腕動脈血流量 <350mL/分 や RI >0.6 は注意が必要

透析に欠かせないシャントを守るため、日常の観察とエコー評価を組み合わせることが大切です。

✅ タグ#内シャント #AVF #エコー #透析管理 #看護師技術

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