top of page

在宅医療における認知症について⑦~認知症と診断する前に必ず確認したい「脳外科疾患の除外」

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月19日
  • 読了時間: 2分

ree

認知症が疑われたとき、実は真っ先に行うべきことの一つが「他の治療可能な疾患の除外」です。特に重要なのが慢性硬膜下血腫特発性正常圧水頭症(iNPH)といった脳外科的な病気の見逃しを防ぐことです。

✅ なぜ頭部画像検査が必要なのか?

慢性硬膜下血腫は軽度の頭部外傷でも高齢者に起こりやすく、歩行障害・認知機能低下・失禁など「認知症とそっくりな症状」を呈します。同様に、特発性正常圧水頭症も認知機能低下や歩行障害、尿失禁を特徴とする病態です。

こうした治療可能な脳疾患を見落とさないためには、頭部CTまたはMRIによる画像検査が必須となります。

🔍 除外診断の流れとは?

以下のようなステップで、認知症以外の原因を除外していきます。

  1. 問診・心理検査 → アルコール性健忘、せん妄、うつ病、軽度認知障害などを除外

  2. 薬歴調査 → 抗コリン薬、ベンゾジアゼピン系など薬剤性の症状を除外

  3. 血液検査 → 甲状腺機能低下症、ビタミンB₁₂欠乏など代謝異常を除外

  4. 頭部画像検査(CTまたはMRI) → 慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症などの脳外科疾患を除外

※このプロセスを経てはじめて「真の認知症」と診断できます。

📌 認知症の診断は「除外から始まる」

私たちは、アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症性疾患を診断する前に、「本当にそれが認知症なのか?」を慎重に確認する必要があります。一度でいいので頭部単純CTまたはMRIを撮ることが重要です。特に在宅医療や高齢者医療の現場では、画像を省略しがちですが、救える疾患を見逃さないために、このステップは不可欠です。

📺 もっと詳しく学びたい方へ在宅医療・認知症ケア・呼吸器疾患に関する解説をYouTubeで配信中!▶ 内田賢一 - YouTubeチャンネル

コメント


© 2021 湘南在宅研究所 All Rights Reserved.

情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬を処方しておりません

bottom of page