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リウマチを科学する27 「関節が痛い」を4つの質問で整理する〜関節炎に“名前”をつけよう

5 分前
読了時間: 5分

「関節が痛い」を4つの質問で整理する〜関節炎に“名前”をつけよう〜

炎症があるか・いつからか・いくつの関節か。順番に確かめるだけで、原因の見当がぐっとつけやすくなります。

「ひざが痛い」「指が痛い」——関節の痛みはとても身近な訴えですが、原因は加齢による変化から、急いで治療が必要な感染症までさまざまです。そこで役立つのが、決まった順番で4つの質問に答えていくという考え方です。今回はその2〜4番目と、最後の仕上げである「名前づけ」を解説します。

質問② その関節に「炎症」はある?
質問② その関節に「炎症」はある?

痛みが関節そのものから来ていると判断したら、次は関節炎かどうか、つまり炎症があるかを確かめます。炎症のサインは、以前の回でご紹介した「腫れ・赤み・熱っぽさ・痛み」の4つです。

見て、触って確かめる

ポイントは触診です。関節をやさしく触れて、ぷにっとした柔らかい腫れがないかを確認します。骨が出っ張ったような硬い腫れは、炎症ではなく変形によるものが多いです。熱っぽさは、反対側の同じ関節と触り比べて左右差をみるとわかりやすくなります。

痛みの出かたにも違いがある

1日の中での痛みのイメージ(模式図)
1日の中での痛みのイメージ(模式図)

炎症のない関節痛は、休めると楽になる傾向があります。反対に炎症による痛みは休んでもよくならず、動きの少ない夜間〜朝方にかえって強く感じやすいのが特徴です。

関節炎らしさを示すもう一つのサインが朝のこわばりです。夜のあいだに固まった関節がほぐれるまでに時間がかかり、関節炎では1時間以上続くことが多いとされています。

全身と血液検査

炎症が強いと、発熱・だるさ・体重減少といった全身の症状を伴うことがあります(関節炎による熱は微熱程度のことが多いです)。血液検査ではCRPや赤沈といった炎症マーカーが上がり、長引くと貧血がみられることもあります。

 

炎症性

非炎症性

赤み・熱っぽさ

あり

なし

腫れ

柔らかい

硬い(骨性)

痛みの時間帯

夜間〜朝方に強い

日中に強い(休むと楽)

朝のこわばり

長い(1時間以上)

短い

全身症状

発熱・だるさ・体重減少

なし

炎症マーカー


(CRP・赤沈)

上昇

正常

注意:手指など小さな関節だけの関節炎では、炎症マーカーが上がらないことも珍しくありません。「CRPが正常=関節炎ではない」とは言い切れません。

質問③ いつから続いている?——境目は「6週間」

関節炎だと考えたら、次は時間経過です。関節の痛みでは、6週間を境に急性と慢性を分けます。

細菌による関節炎は自然には治りませんが、全身状態が悪化するため、6週間も様子をみられることは通常ありません。だからこそ「長く続く関節炎」では自己免疫の病気を考えていくことになります。
細菌による関節炎は自然には治りませんが、全身状態が悪化するため、6週間も様子をみられることは通常ありません。だからこそ「長く続く関節炎」では自己免疫の病気を考えていくことになります。

質問④ いくつの関節が腫れている?

時間経過とあわせて、症状のある関節の数と分布を数えます。

仕上げ:関節炎に「名前」をつける
仕上げ:関節炎に「名前」をつける

時間経過(急性/慢性)と分布(単・少数/多)を組み合わせると、関節炎は4つのタイプに整理できます。この名前づけこそが、原因を絞り込む近道になります。

 

単(少数)関節

多関節

急性

急性 単(少数)関節炎

急性 多関節炎

慢性

慢性 単(少数)関節炎

慢性 多関節炎

たとえば「3日前から右ひざだけが腫れている」なら → 急性単関節炎

単関節炎の考え方

「◯◯の関節が痛い」と聞いても、まずは振り出しの質問①に戻ります。「肩が痛い」の正体が腱板の損傷や首の骨の問題だったり、「指が痛い」が実は骨折だったりすることもあるからです。そのうえで炎症があれば単関節炎。頻度が圧倒的に高いのは急性のほうです。

急性単関節炎:原因トップ3

決め手は「関節液検査」:関節にたまった液を調べることで、必ず除外したい化膿性関節炎と、いちばん多い結晶性関節炎の両方を見分けられます。急性単関節炎でもっとも重要な検査です。
決め手は「関節液検査」:関節にたまった液を調べることで、必ず除外したい化膿性関節炎と、いちばん多い結晶性関節炎の両方を見分けられます。急性単関節炎でもっとも重要な検査です。

慢性単関節炎(少数関節炎)

6週間以上続く単関節炎は、実はそれほど多くありません。化膿性や結晶性の関節炎がここまで長引くことは通常ないため、考える病気が変わります。

在宅医療の現場から
在宅医療の現場から

ご高齢の方では、偽痛風によるひざや手首の腫れで急に動けなくなったり、熱だけが目立ったりすることがあります。認知症などで痛みをうまく伝えられない方もいらっしゃいます。「急に立てなくなった」「着替えのときに顔をしかめる」といった変化に気づいたら、関節を左右で見比べ、そっと触って熱っぽさを確かめることが手がかりになります。

今回のまとめ

  • 関節痛は「関節か/炎症か/いつからか/いくつか」の順に整理する

  • 炎症性のサイン:柔らかい腫れ・熱感・夜間〜朝の痛み・1時間以上の朝のこわばり

  • 急性と慢性の境目は6週間。関節の数は 1/2〜4/5以上 で分ける

  • 組み合わせて名前をつけると、原因の候補が絞りやすくなる

  • 急性単関節炎では化膿性関節炎を見逃さない。鍵は関節液検査

次回予告:急性単関節炎の決め手となる「関節液検査」と、多関節炎の考え方へ進みます。

※本記事は一般の方と医療・介護スタッフ向けに、関節痛の考え方をわかりやすく整理したものです。内容は簡略化しており、実際の診断・治療は症状や経過によって異なります。気になる症状がある場合は、かかりつけ医にご相談ください。

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