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リウマチを科学する25 ステロイド性骨粗鬆症 65歳以上にステロイドを使うなら、骨の薬を必ず検討する

11 分前
読了時間: 4分

ステロイド性骨粗鬆症65歳以上にステロイドを使うなら、骨の薬を必ず検討する

ステロイドの副作用のなかでも、生活への影響がとりわけ大きいのが骨粗鬆症です。骨折してしまえばADLが一気に落ち、もとの生活に戻れないことも珍しくありません。しかもこの副作用は、始める前から手を打てる数少ないものです。今回は骨密度の評価から、誰に薬を使うかの判断、薬の選び方までを整理します。

#ステロイド#副作用#ステロイド性骨粗鬆症#GIOP#脆弱性骨折#骨密度#いつの間にか骨折#YAM#ビスホスホネート#抗RANKL抗体#顎骨壊死#歯科連携

1|骨がスカスカになる、その先にあるもの

ステロイドの副作用で骨の新たな形成が障害され、骨がスカスカになって骨粗鬆症が引き起こされます。これをステロイド性骨粗鬆症(グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症)と呼びます。骨がもろくなると、転倒やちょっとした外力でも骨折しやすくなります(脆弱性骨折)。

骨の内部構造の違い(模式図)。すき間が広がるほど、わずかな力でも折れやすくなります
骨の内部構造の違い(模式図)。すき間が広がるほど、わずかな力でも折れやすくなります
「いつの間にか骨折」にも注意。気づかないうちに背骨が折れていることがあり、痛みや背中の変形の原因になっていることもあります。転んだ記憶がなくても、身長が縮んだ・背中が丸くなった・起き上がりがつらいといった変化は、椎体骨折のサインかもしれません。
「いつの間にか骨折」にも注意。気づかないうちに背骨が折れていることがあり、痛みや背中の変形の原因になっていることもあります。転んだ記憶がなくても、身長が縮んだ・背中が丸くなった・起き上がりがつらいといった変化は、椎体骨折のサインかもしれません。

2|多くの方は、始める前からすでに骨が弱い

そもそも骨密度は加齢とともに低下します。50歳を過ぎると徐々に下がりはじめ、とくに閉経後の女性ではその傾向が顕著です。高齢者、なかでも高齢女性は骨粗鬆症の有病率が高く、ステロイド治療が始まる時点ですでに骨粗鬆症になっていることが珍しくありません。

骨密度の結果をどう読むか
骨密度の結果をどう読むか

骨密度が若年成人平均値(YAM)の70%以下、または−2.5SD以下であれば、それだけで骨粗鬆症の診断になります。また、椎体骨折や大腿骨近位部骨折がすでにある場合も、それだけで骨粗鬆症と診断されます。

原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年改訂版)



原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年改訂版)

低骨量をきたす骨粗鬆症以外の疾患または続発性骨粗鬆症を認めず、


骨評価の結果が下記の条件を満たす場合、原発性骨粗鬆症と診断する

脆弱性骨折あり

1.椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり


2.その他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満

脆弱性骨折なし

骨密度がYAMの70%以下または −2.5SD以下

3|誰に薬を使うのか——ガイドラインの考え方

骨折リスクがこれほど高い以上、きちんと予防・管理する必要があります。では、どのような患者さんを、どのように管理すればよいのでしょうか。ガイドラインの診療アルゴリズムを見てみましょう。

ステロイドを3か月以上使うなら、危険因子をスコア化して薬物療法の要否を判断します
ステロイドを3か月以上使うなら、危険因子をスコア化して薬物療法の要否を判断します



危険因子とスコア

危険因子

区分

スコア

既存骨折

なし

0

あり

7

年齢(歳)

50未満

0

50〜65未満

2

65以上

4

ステロイド投与量


(PSL換算 mg/日)

5未満

0

5〜7.5未満

1

7.5以上

4

骨密度(%YAM)

80以上

0

70〜80未満

2

70未満

4

日本骨代謝学会『グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン 2023』(南山堂)の診療アルゴリズムをもとに、要点を整理しました。実際の運用は原本をご確認ください。

4|どの薬を使うか
4|どの薬を使うか
始める前に、歯科へ
始める前に、歯科へ

ビスホスホネート・抗RANKL抗体に共通して、厳重に警戒すべき副作用が顎骨壊死です。侵襲的な歯科治療が顎骨壊死のリスクになるため、これらの薬による治療を開始する前に歯科治療を済ませておく必要があります。歯科との連携が大変重要になります。

在宅でできること

薬だけが対策ではありません。転ばない環境をつくることが、骨折予防の半分を占めます。段差の解消、夜間のトイレ動線の照明、手すりの設置、滑りにくい履物——ケアマネジャーや訪問看護・リハビリと共有しておきたいポイントです。「いつの間にか骨折」を疑わせる背中の変化に気づけるのも、日々そばにいる方々です。

5|今回のまとめ

ステロイド性骨粗鬆症のポイント

・骨折リスクは30〜50%。骨折はADLを大きく損なうため、予防が最優先。・治療開始時(または開始後早期)に骨密度と腰椎レントゲンを評価しておく。・65歳以上・既存骨折あり・PSL 7.5mg以上・骨密度YAM 70%未満のどれかひとつでも該当すれば薬物療法を。・第一選択はビスホスホネート(ビタミンD併用)。開始前に歯科治療を済ませ、顎骨壊死に備える。


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