在宅酸素療法を科学する17~在宅酸素療法(HOT)安静時・労作時・睡眠時の流量設定
- 4月22日
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在宅酸素療法(HOT)安静時・労作時・睡眠時の流量設定
在宅酸素療法(home oxygen therapy: HOT)は慢性呼吸不全に対して幅広く普及しているが、酸素流量の設定方法におけるエビデンスは限られており、主治医の判断で個々の症例ごとに設定されることが多い。本稿では安静時・労作時・睡眠時の流量設定について、非専門医にもわかりやすく解説する。
1. 在宅酸素療法の適応と注意事項
HOTの適応基準は「動脈血酸素分圧が55Torr以下の者、および動脈血酸素分圧が60Torr以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす者であって、医師がHOTを必要であると認める者」とされている。HOT導入前に必ず動脈血液ガス検査を施行し評価することが必要。

動脈血液ガスによる評価後は、酸素流量は動脈血酸素分圧(PaO₂)で60〜70Torr、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)で90〜95%程度を目安に酸素流量を調整する。酸素流量の調整方法はⅠ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全で異なる。


労作時における酸素流量の具体的設定は、まず安静時の約2〜3倍を目安に調整する。その後、パルスオキシメータを用いて歩行中のSpO₂を指標に酸素流量を調整する。労作時においてもSpO₂は安静時と同様に90%前後を目標とする。通常の鼻カニューレでは最大流量でもSpO₂が維持できない場合は酸素節約デバイスの使用が有用なことも多い。

疾患 | 群 | 安静時PaO₂ | 室内気歩行後SpO₂ | ΔSpO₂(%) | O₂吸入量(L) |
肺気腫 | non-D群 | 73.0±10.3 | 92.4±3.1 | 4.2±2.7 | — |
肺気腫 | D群 | 63.6±2.5 | 84.5±2.4 | 9.8±2.9 | 1.8±0.4 |
間質性肺炎 | non-D群 | 79.3±10.2 | 92.3±3.3 | 4.1±3.2 | — |
間質性肺炎 | D群 | 66.1±6.9 | 82.7±3.9 | 12.8±3.7 | 2.7±0.8 |
肺結核後遺症 | non-D群 | 76.4±5.6 | 93.1±1.7 | 4.1±1.6 | — |
肺結核後遺症 | D群 | 62.3±2.3 | 85.7±1.5 | 10.4±1.9 | 1.5±0.7 |
D群:歩行時低酸素血症あり、non-D群:歩行時低酸素血症なし。SpO₂が88%以下に低下した場合を低酸素血症と定義
4. 睡眠時の流量設定
覚醒時における肺結核後遺症およびその他の慢性呼吸器疾患において、安静時PaO₂と睡眠時SpO₂最低値との関係は正の相関関係があり、覚醒時PaO₂と睡眠時SpO₂≦85%の時間関係は負の相関関係が認められている。
臨床においては、睡眠時における酸素流量は安静時と同値またはやや多めで対応可能な症例が多い。可能であればパルスオキシメータを用いて睡眠時SpO₂を連続測定し、睡眠中のSpO₂が90%程度以下になる時間が合計30分以下となる処方が望ましい。
覚醒時PaO₂>55Torrの患者の睡眠時低酸素血症
SpO₂が88%以下に低下した場合を低酸素血症と定義疾患 | 低酸素血症あり | 低酸素血症なし |
肺結核後遺症(n=11) | 10 | 1 |
肺気腫(n=8) | 1 | 7 |
びまん性汎細気管支炎(n=4) | 1 | 3 |
気管支拡張症(n=4) | 1 | 3 |







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