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在宅酸素療法を科学する26~肺高血圧症

  • 1 時間前
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肺高血圧症PAHPHmean PAPPAWP酸素療法LTOTCOPD合併PHPvO₂PaO₂組織酸素化ニース分類肺血管リモデリング右心不全ESC/ERAガイドライン日本循環器学会特発性肺動脈性肺高血圧症IPAHCTEPH生存曲線

肺高血圧症の定義

2008年に米国のダナポイントで開催された第4回肺高血圧症ワールドシンポジウムにて、右心カテーテル検査を用いて実測した安静時肺動脈平均圧(mean pulmonary arterial pressure:mean PAP)25 mmHg以上が肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)と定義された。

肺高血圧症の分類(ニース分類,2013)
肺高血圧症の分類(ニース分類,2013)

PHの分類は、1998年フランスのエビアンで開催されたワールドシンポジウムで5つの群に分類整理され、その後改訂を重ねた結果、現在では2013年のニース分類が用いられている。ニース分類の2群は左心疾患に伴うPHであり、主に肺静脈性肺高血圧症(pulmonary venous hypertension:PVH)である。本項では主に、PAHに対する酸素療法に関して述べる。

● 肺高血圧症の最新分類(ニース,2013)

肺高血圧症に対する酸素療法
肺高血圧症に対する酸素療法

PAHでは器質的な肺血管床の減少(肺血管リモデリング)と肺血管床の機能的攣縮の双方が関与していると考えられる。初期では、治療による可逆性が期待できる機能的攣縮の割合が大きいと考えられるが、病気の進行とともに器質的変化の割合が増え、肺血管抵抗が上昇し、右心不全をまねく。PHに対する酸素療法は機能的な肺血管攣縮に対して効果があると思われる。しかし、PHに対する長期の酸素投与が有用であったとのランダム化比較試験は現在まで認められない。

一方で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を基礎疾患とする慢性呼吸不全症例に対しては、酸素療法が生命予後改善につながる治療法のひとつであるとの確たるエビデンスがある。COPDに対してなぜ酸素療法が生命予後を改善するのか、明確な機序はわかっていないが、低酸素血症の改善に伴う組織酸素化の改善が生命予後の改善につながるものと推察される。

COPDにおける組織酸素化の指標

COPDでは組織酸素化の指標である混合静脈血酸素飽和度(PvO₂)が正常下限値(35 Torr)のとき、動脈血酸素分圧(PaO₂)値が60 Torrであるため、酸素療法の適応基準を60 Torrとしている。実際、COPD患者におけるPvO₂が35より高い場合と35以下で生命予後に差がみられる(図1)。

また、ニース分類の3群に示されているように、COPDを含む肺疾患はPHを合併する場合があり、1990年に厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班が慢性肺疾患の生命予後をPHの有無で区別して分析した結果では、PH群で有意に生存率が低下していた

これらの事実に基づき、PHに対する酸素療法はCOPDに準じてPaO₂ ≥ 8 kPa(60 Torr)を維持するものとして、下記3つの国際ガイドラインでそれぞれ支持療法の項目に、Class Ⅰ、エビデンスレベルCとして記載されている。


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