在宅酸素療法を科学する25~慢性心不全
- 5 時間前
- 読了時間: 3分

慢性心不全とは、慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し、末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血流量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態、と定義される。
従来は、急性心不全と同様に血行動態的指標やうっ血の有無により管理が行われていたが、慢性心不全では交感神経系やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系に代表される神経内分泌因子が著しく亢進し、その病態に大きく関与していることが判明し、1つの症候群ととらえられるようになった(図1)。その治療においては、一般管理(社会活動や食事、安静や運動など)および薬物療法と併せて、特に重症例では酸素療法を中心とした呼吸管理が重要となってくる。
● 慢性心不全の神経内分泌因子機序












心不全の側面から考えた場合、OSAは血行力学的心負荷や交感神経活動の亢進のほかに、肥満、内皮障害、酸化ストレス、インスリン抵抗性などの代謝機能障害を伴うことが実証されている。CSA–CSRは特に重症心不全患者に認められることからも、心不全の結果生じた呼吸障害とみなされている。
②
慢性心不全と睡眠呼吸障害(SDB)
慢性心不全の重症例ほどSDBを高率に合併していることが報告され、その適切な治療を薬物療法と併用することで、慢性心不全の病態改善を試みる様々な報告やエビデンスが積み重ねられてきた。呼吸管理として、酸素療法・CPAPのほかに、最近様々な研究結果が蓄積されてきたASVがある。ASVとは患者の呼吸に同調して陽圧をかけ、患者の換気量により自動的に適正サポート圧を選択する呼吸管理法である。
③
酸素療法の導入適応
⚡ 導入時の注意点:前述のような保険適用に留意しつつ導入を行うが、慢性肺疾患や高度肥満例ではPaCO₂が上昇し、意識障害をきたすことが稀にあるため、その流量調節について慎重な判断と病態の理解が必要なのは言うまでもない。OSAを合併する心不全では、AHI 20以上にはCPAPを行うことが勧められる。OSAとCSA–CSRの混在を認める場合には、酸素療法やCPAP、ASVなどが選択肢として考えられる。
最近の研究結果
上述のASVについては、世界中でSDB患者・慢性心不全患者を対象に多くの研究結果が報告されてきた。慢性心不全患者のQOL、NYHA重症度などを改善するとの研究結果がわが国で報告されているが、Cowieらは大規模試験においてコントロール群と比較して、長期予後や心臓関連死などの項目ではむしろASV群が劣るとの結果を報告した。
📌 まとめと展望:患者背景・個々の詳細な病態ごとに異なることも考慮される余地があり、SDBと慢性心不全に関してさらなる研究結果が蓄積され、さらに実臨床に応用される治療法が開発されることが期待される。




コメント