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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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在宅医療における認知症について70~【抗うつ薬の“効果グラフ”はなぜ誤解を生むのか】
— 製薬会社が「プラセボ群を目立たなくする」方法を徹底解説 — 抗うつ薬の効果を示す治験データは、しばしば プラセボ群(偽薬)に比べて優れているように見えるよう加工 されています。 とくにSSRI のように、 自然回復率の高いうつ病 では、実薬とプラセボの差が小さく、製薬会社にとっては治験データの見せ方が極めて重要です。 今回取り上げるのは、2011年発売のSSRI エスシタロプラム(レクサプロ) の国内治験(MLD55-11MDD21)のグラフです。 実データを読み解くと、製薬会社パンフレットで典型的に行われる“印象操作”がよくわかります。 ■ 1. プラセボなしのグラフはよく見える(図1) 最初の図は「実薬10mg群」と「20mg群」だけを比較したもの。 治療前 → 8週間後で HAM-D が大きく下がるので 「お、効いているな」 と感じます。 しかし── これはプラセボ群が描かれていないグラフです。 つまり、「自然経過で良くなっている分」を隠しているわけです。 ■ 2. プラセボを入れると印象は一変(図2) 同じ治験で、 プラセボ群も一緒に
18 時間前読了時間: 3分


在宅医療における認知症について69~「抗うつ薬に依存性はない」という言葉をどう受け止めるか
— 中止後症状と“依存性なし”のギャップ — 前回の記事で触れたように、抗うつ薬、とくにSSRI・SNRIには**中止後症状(discontinuation symptoms)**が高頻度にみられます。しかし、この「中止後症状」という概念は、 現場の一般臨床医には十分知られていない 可能性があります。 抗うつ薬の効果(抑うつ改善・疼痛軽減)だけでなく、 中止後症状がどの程度起こりうるのか どんな症状が出るのか といった情報まできちんと書いてある製薬会社パンフレットがあるなら、それは非常に有用でしょう。しかし実際には、 そこまで踏み込んで書かれているパンフレットはほとんどありません。 1. 「離脱症状」と言ってはいけない?精神薬理学の立場 一度飲み始めるとなかなかやめにくい薬、と聞くと、どうしても「薬物中毒」「禁断症状」をイメージしがちです。 ベンゾジアゼピン受容体作動薬については、 承認用量の範囲内であっても 長期服用により 身体依存が形成される 減量・中止で離脱症状が出る という点について、PMDAが強い警告を出しています。 それなのに、...
2 日前読了時間: 5分


在宅医療における認知症について68~【医師向け】抗うつ薬の「中止後症状」を理解する
— SSRI・SNRIの離脱症状はなぜ起こるのか — 抗うつ薬は“始めるのは簡単だが、やめるのは難しい薬”です。その理由のひとつが、服薬中断によって現れる 「抗うつ薬中止後症状(discontinuation symptoms)」 です。 イライラ 嘔気 めまい 運動失調 発汗 感覚異常 悪夢 これらの症状は、うつ病の再発と見分けにくく、時に患者さん・医療者双方を混乱させます。 ■ 1. 抗うつ薬中止後症状とは? 英語では "antidepressant discontinuation symptoms" と呼ばれ、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で特に起こりやすいものの、 すべての抗うつ薬で発生しうる とされています。 中止後症状は、欧米でも1990年代以降くり返し研究されており、抗うつ薬の治療ガイドラインでも “注意すべき副作用” として位置づけられています。 ■ 2. SNRI(特にデュロキセチン)でも高頻度に起こる デュロキセチンは、 うつ病 糖尿病性神経障害 線維筋痛症 慢性腰痛症 変形性関節症の疼痛 …など多くの効能
3 日前読了時間: 4分


在宅医療における認知症について67~【医師向け】「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」という言葉に潜む“印象操作”
精神科領域の製薬会社パンフレットをどう読むか 医療の世界は非常に幅広く、精神科を専門としない医師が“精神薬理”の細部まで把握することは現実的には困難です。その隙間を埋めるように、製薬会社は「精神科の知識を分かりやすくまとめたパンフレット」を無料で配布します。 しかし、その多くは**気づかれないように巧妙に“自社製品が有利に見えるよう加工された情報”**です。医師側はそれを理解したうえで読み解くか、それとも受け取らないか──常に二者択一を迫られています。 精神科や老年医学の領域では特に、こうした“用語の印象操作”によって誤解が生まれやすく、処方判断に影響が出ることもあります。 ❚ よくある印象操作① 「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」という“安全そうな名前” ゾルピデム・ゾピクロン・エスゾピクロンは、製薬会社の資料では**「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」**という名前で紹介されます。 この表現は、 💡 ベンゾジアゼピンとは全く違う、安全な新世代の睡眠薬という“誤った印象”を与えがちです。 しかし実際には── ■ 同じ受容体に結合します...
4 日前読了時間: 3分
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