認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤38~「有棘赤血球舞踏病(ChAc)」とは?
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有棘赤血球舞踏病(ChAc)とは
ChAcは9番染色体長腕のVPS13A遺伝子の変異による、 常染色体潜性(劣性)遺伝の神経変性疾患です。 遺伝子産物であるChorein蛋白が機能を失うことで神経細胞死が促進され、 大脳基底核(線条体:尾状核・被殻)を中心に変性が進行します。

① 運動症状(不随意運動)
最も特徴的なのは口舌ジストニアで、食事中に舌が突出したり、 口や顔が歪むなどの口舌顔面ジストニアを認めます。 また四肢遠位の舞踏運動(非律動的でランダムな動き)、 音声チック、体幹ジストニアによる「ゴム状歩容」なども特徴的です。
チックは意識的に抑制できますが、その間「動かしたい・声を出したい」という衝動が増すことが特徴です。 また腱反射の低下〜消失が高率に認められます。
② 認知機能障害・精神症状
ほぼ全例で認知機能障害や精神神経症状を合併します。 前頭葉機能障害(遂行機能障害・判断力低下・脱抑制・衝動性)が中心で、 強迫症状、抑うつ、人格変化、統合失調症様症状(幻覚・妄想)もみられます。
③ てんかん発作
半数にてんかんを合併し、初発症状がてんかんであることも多いため、 若年発症のてんかんには鑑別として念頭に置くことが重要です。 側頭葉てんかん(複雑部分発作→二次性全般化)が多く認められます。
診断のポイント



主な鑑別疾患
疾患名 | 遺伝子 | 有棘赤血球 | 特徴的所見 | 好発年齢 |
ChAc(本疾患) | VPS13A | あり | CK上昇・線条体萎縮 | 20〜30歳代 |
McLeod症候群(MLS) | XK(X連鎖) | あり | Kell抗原低下・心疾患 | 40歳代 |
PKAN(NBIA) | PANK2 | 時折 | eye of the tiger sign | 10歳未満 |
Huntington病 | HTT(AD) | なし | 線条体萎縮・性格変化 | 10〜60歳代 |
DRPLA | atrophin1(AD) | なし | 小脳・脳幹萎縮 | 1〜70歳代 |
神経フェリチン症 | NFL | なし | 鉄沈着(MRI) | 30〜60歳代 |
治療・マネージメント
ChAcには根本的な治療法はなく、症状に準じた対症療法が中心です。 厚生労働省の指定難病対策の対象疾患であり、早期から社会的支援を導入することが重要です。
症状 | 主な治療・対応 |
舞踏運動・ジストニア・口舌症状 | 非定型抗精神病薬、テトラベナジン、バルベナジン(適応外)、ボトックス(口・舌・咬筋) |
チック(運動・音声) | マウスガード、レベチラセタム、クエチアピン、ロラゼパム |
うつ・強迫症状 | SSRI、クエチアピン |
てんかん | 抗てんかん薬(発作型に応じて選択) |
難治例 | 脳深部刺激療法(DBS)の有効報告あり |
栄養・嚥下管理 | 嚥下リハ、栄養補助食品、口舌ジストニアへの食形態調整 |
社会支援 | コミュニケーションデバイス、介護保険・難病支援サービスの導入 |
在宅医療・訪問診療との関わり
ChAcは緩徐進行性の疾患であり、多くの患者さんが長期にわたり在宅で療養されます。 在宅医療・訪問診療の現場では以下の点が特に重要です。






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