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認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤38~「有棘赤血球舞踏病(ChAc)」とは?

  • 6 時間前
  • 読了時間: 3分
「てんかん」と診断されていた方が、数年後に不随意運動や認知機能低下を呈し、 最終的に有棘赤血球舞踏病(Chorea-Acanthocytosis:ChAc)と診断されるケースがあります。 本疾患は国内に100人以上の報告がある指定難病ですが、 在宅医療の現場でも遭遇しうる疾患です。今回は診断のポイントと在宅での支援を解説します。
「てんかん」と診断されていた方が、数年後に不随意運動や認知機能低下を呈し、 最終的に有棘赤血球舞踏病(Chorea-Acanthocytosis:ChAc)と診断されるケースがあります。 本疾患は国内に100人以上の報告がある指定難病ですが、 在宅医療の現場でも遭遇しうる疾患です。今回は診断のポイントと在宅での支援を解説します。

有棘赤血球舞踏病(ChAc)とは

ChAcは9番染色体長腕のVPS13A遺伝子の変異による、 常染色体潜性(劣性)遺伝の神経変性疾患です。 遺伝子産物であるChorein蛋白が機能を失うことで神経細胞死が促進され、 大脳基底核(線条体:尾状核・被殻)を中心に変性が進行します。

主要な臨床症状
主要な臨床症状

① 運動症状(不随意運動)

最も特徴的なのは口舌ジストニアで、食事中に舌が突出したり、 口や顔が歪むなどの口舌顔面ジストニアを認めます。 また四肢遠位の舞踏運動(非律動的でランダムな動き)、 音声チック、体幹ジストニアによる「ゴム状歩容」なども特徴的です。

チックは意識的に抑制できますが、その間「動かしたい・声を出したい」という衝動が増すことが特徴です。 また腱反射の低下〜消失が高率に認められます。

② 認知機能障害・精神症状

ほぼ全例で認知機能障害や精神神経症状を合併します。 前頭葉機能障害(遂行機能障害・判断力低下・脱抑制・衝動性)が中心で、 強迫症状、抑うつ、人格変化、統合失調症様症状(幻覚・妄想)もみられます。

③ てんかん発作

半数にてんかんを合併し、初発症状がてんかんであることも多いため、 若年発症のてんかんには鑑別として念頭に置くことが重要です。 側頭葉てんかん(複雑部分発作→二次性全般化)が多く認められます。

診断のポイント

主な鑑別疾患

疾患名

遺伝子

有棘赤血球

特徴的所見

好発年齢

ChAc(本疾患)

VPS13A

あり

CK上昇・線条体萎縮

20〜30歳代

McLeod症候群(MLS)

XK(X連鎖)

あり

Kell抗原低下・心疾患

40歳代

PKAN(NBIA)

PANK2

時折

eye of the tiger sign

10歳未満

Huntington病

HTT(AD)

なし

線条体萎縮・性格変化

10〜60歳代

DRPLA

atrophin1(AD)

なし

小脳・脳幹萎縮

1〜70歳代

神経フェリチン症

NFL

なし

鉄沈着(MRI)

30〜60歳代

治療・マネージメント

ChAcには根本的な治療法はなく、症状に準じた対症療法が中心です。 厚生労働省の指定難病対策の対象疾患であり、早期から社会的支援を導入することが重要です。

症状

主な治療・対応

舞踏運動・ジストニア・口舌症状

非定型抗精神病薬、テトラベナジン、バルベナジン(適応外)、ボトックス(口・舌・咬筋)

チック(運動・音声)

マウスガード、レベチラセタム、クエチアピン、ロラゼパム

うつ・強迫症状

SSRI、クエチアピン

てんかん

抗てんかん薬(発作型に応じて選択)

難治例

脳深部刺激療法(DBS)の有効報告あり

栄養・嚥下管理

嚥下リハ、栄養補助食品、口舌ジストニアへの食形態調整

社会支援

コミュニケーションデバイス、介護保険・難病支援サービスの導入

在宅医療・訪問診療との関わり

ChAcは緩徐進行性の疾患であり、多くの患者さんが長期にわたり在宅で療養されます。 在宅医療・訪問診療の現場では以下の点が特に重要です。


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