認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤33~「落ち着きがない」「癖がある」は病気のサイン?— Huntington病を知っていますか
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「落ち着きがない」「癖がある」は病気のサイン?— Huntington病を知っていますか
20歳代で集中力の低下・手の震え・イライラが重なり、仕事を続けられなくなった男性。祖父の「落ち着きのなさ・性格変化・自殺」という家族歴が、診断の決定的な鍵になりました。今回はHuntington病(HD)の症例を通じて、この遺伝性疾患の特徴と在宅医療での関わりを解説します。
症例の概要
患者は20歳代の男性。1年前から複数タスクをこなせなくなり、手が固まって震える、小さな物をつまめないなどの症状が出現。半年前から腕振り困難・早歩き不能・不眠・易刺激性が加わり受診。

HDは常染色体顕性遺伝(旧:優性遺伝)を示す神経変性疾患で、日本の有病率は約0.7人/10万人です。原因はHTT遺伝子のCAGリピートの異常伸長(36以上)であり、ヘテロ接合体で発症します。典型的には30〜50歳で、舞踏運動・精神症状・認知機能障害の三徴として発症し、15〜20年で進行します。



精神症状と自殺リスクへの注意
HDではアパシー・易刺激性・抑うつ症状の頻度が高く、自殺率が高いことが知られています。自殺リスクが上昇する時期は「症状が軽度の前駆期」と「機能的自立が損なわれる時期」の2つで、診断前後の心理的支援が特に重要です。

HDの認知機能障害は「皮質下性認知症」が特徴です。早期から精神運動速度遅延・遂行機能障害(プランニング・柔軟性・セットシフト・マルチタスク)が目立ちます。陳述記憶については、手がかり再生・再認は比較的保たれるものの、自由再生が障害されます。

本症例は退職後に自宅で家族と生活し、3年後に車椅子生活へ移行。認知機能障害・構音障害・嚥下障害も進行しました。その後、父親も発症しています。
在宅医療では多職種チームによるリハビリ・嚥下管理・精神症状への対応とともに、家族全体への遺伝カウンセリングが重要な役割を担います。子の診断が、未発症の親にとっての「発症前診断のきっかけ」になりうる点で、倫理的配慮が不可欠です。遺伝子検査の前には、血縁者を含めた丁寧な説明と心理的サポートが求められます。

神奈川県逗子市 | 在宅医療・訪問診療




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