精神疾患を科学する 在宅医療で関わる精神疾患について㉒~物理的被害妄想をやさしく解説
- 5 日前
- 読了時間: 3分
① 物理的被害妄想とは

よくある訴えの例
「隣の家から電波を飛ばされて、体を攻撃されているんです」
「電磁波でずっといたぶられていて、夜も眠れません」
② なぜ「電波」という表現が多いのか
この妄想では、攻撃の手段として「電波」という言葉で語られることが非常に多いのが特徴です。一方で、人によっては「電磁波」など少し違う言葉を使うこともあります。いずれにしても「電波のような、目に見えない何か」にやられている、という点は共通しています。
電波はもともと目に見えないものです。だからこそ、「見えないのに確かに攻撃されている」という体験を説明する言葉として選ばれやすいのかもしれません。表現が患者さんごとに少しずつ違うのは、見えないものをそれぞれの言葉で表そうとした結果ともいえます。

物理的被害妄想は、単独で現れるだけでなく、体感幻覚(からだの中に異常な感覚を感じる幻覚)と組み合わさって出現することがあります。たとえば次のような訴えです。
組み合わさった訴えの例
「電波のせいで、体のあちこちに穴があいている」
この場合、「電波で攻撃されている」という部分と、「体に穴があいている(感覚がある)」という部分が重なっています。厳密に切り分ける必要はありませんが、整理すると次のようになります。


「電波」という表現が多いものの、人によっては「電磁波」など言葉が異なり、いずれも「目に見えない何かによる攻撃」という点は共通しています
「電波のせいで体に穴があいている」のように、体感幻覚と組み合わさって現れることもあります
厳密に分ける必要はありませんが、「物理的に攻撃されている」が物理的被害妄想、「(攻撃されて)痛い」が体感幻覚です
訴えを頭ごなしに否定せず、本人のつらさを受け止めながら専門医につなぐことが対応の基本です
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。ご本人やご家族に気になる症状がある場合は、内容の自己判断にとどめず、精神科医・かかりつけ医などの専門職にご相談ください。





コメント