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神経障害性疼痛疼痛を科学する24~術後瘢痕疼痛症候群— 慢性化するメカニズムから予防まで —

  • 13 分前
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神経障害性疼痛術後疼痛開胸術乳房切除術胆嚢摘出術鼠径ヘルニア修復術瘢痕疼痛薬物療法先制鎮痛法ガバペンチン神経ブロック慢性疼痛予防
神経障害性疼痛術後疼痛開胸術乳房切除術胆嚢摘出術鼠径ヘルニア修復術瘢痕疼痛薬物療法先制鎮痛法ガバペンチン神経ブロック慢性疼痛予防

外科的侵襲と神経障害性疼痛

外傷と同様に、手術は神経障害性疼痛の原因となります。組織への外科的侵襲は、筋組織や脂肪組織の損傷と瘢痕組織形成、手術部位を横断・分布している知覚神経の損傷などを引き起こす可能性があり、慢性化する疼痛形成に寄与します。

定義と疫学

定義

術後瘢痕疼痛症候群とは、手術後、創部の傷が治癒した後も長期にわたり続く(一般的には手術後3ヵ月以上続く)神経障害性疼痛です。手術時の末梢神経障害、術後瘢痕化による神経癒着などにより、術後長期間持続するか、一定期間を経て再燃します。

代表的な病態として、開胸術後疼痛、乳房切除術後疼痛、胆嚢切除術後疼痛、鼠径ヘルニア修復術後疼痛、四肢切断後の幻肢痛・断端痛、頸部郭清術後疼痛、冠動脈バイパス術後疼痛などがあります。

主な手術別の発症率

開胸術の発症要因
開胸術の発症要因

末梢神経障害性疼痛、瘢痕痛、筋筋膜性疼痛、腫瘍再発、帯状疱疹痛などが原因として挙げられます。手術中の肋間神経牽引は神経を傷害し、閉胸縫合による慢性的な圧迫が知覚脱出を伴う疼痛を生み出します。

術後急性期の疼痛の程度は開胸術後疼痛症候群発症の予測因子となりえます。また術後肋間神経の機能不全(表在腹壁反射の消失)は、術後3ヵ月における疼痛の存在に関与しています。

乳房切除術の予測因子

腋窩リンパ節切除術合併症により、肋間・腋窩神経叢の損傷が80〜100%の患者で生じ、上肢の疼痛症状発症率が高くなります。化学療法により、微小管や神経フィラメントに影響を与えて軸索流の障害を起こし、末梢神経毒性を生じることもあります。

術前から存在する抑うつ状態や不安は慢性疼痛発症に影響があります。術式においては、根治的乳房切除術よりも乳房温存術のほうが慢性痛になりやすいとする報告もみられます。

痛みの性質(手術種別)

術後瘢痕疼痛症候群に対する治療法は、他の神経障害性疼痛に対する治療法に準じます。手術方法や術前からの処置により、術後慢性痛の発症の予防または症状軽減の可能性が期待される点は本症候群の特徴です。
術後瘢痕疼痛症候群に対する治療法は、他の神経障害性疼痛に対する治療法に準じます。手術方法や術前からの処置により、術後慢性痛の発症の予防または症状軽減の可能性が期待される点は本症候群の特徴です。

1) 抗うつ薬

2) 抗てんかん薬
2) 抗てんかん薬
3) リドカイン静脈内投与
3) リドカイン静脈内投与

開胸術後のアロディニアの範囲を縮小させる(グレードA)。

4) 神経ブロック療法

末梢神経損傷後、軸索の発芽・神経腫形成によりノルエピネフリンによる知覚神経の興奮が生ずる可能性があり、交感神経介在性の疼痛病態が形成されることがあります。

開胸術後疼痛に対する胸椎神経根へのパルス性高周波熱凝固法は、薬物療法に比較して術後3ヵ月の疼痛評価において明らかに有意な有効性を認めます。胸部傍脊柱ブロックでは、ブロック1ヵ月後に58%、2ヵ月後に30%で鎮痛状態が継続されるとの報告があります。

手術手技と先制鎮痛法

1) 手術手技による予防

術中、術者が組織を丁寧に扱うことが術後瘢痕疼痛症候群を予防するうえで最も重要な因子です。

2) preemptive analgesia(先制鎮痛法)
2) preemptive analgesia(先制鎮痛法)

組織損傷による疼痛情報の伝達が末梢および中枢神経系の感作を引き起こすという概念に基づき、手術侵害刺激の中枢神経への入力を極力抑制することにより、術後疼痛を抑制できる可能性があります。

今後の課題と展望
今後の課題と展望

あらゆる手術後に術後瘢痕性疼痛が発症する可能性があります。治療は、他の神経障害性疼痛の治療と基本的には同じですが、術後瘢痕性疼痛の治療に関してエビデンスレベルの高い研究は非常に少ないのが現状です。

この疼痛は手術前には疼痛がないことを考慮すると、先制鎮痛について、術後長期間にわたるフォローアップされた対照研究・前向き研究の施行が望まれます。


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