神経障害性疼痛疼痛を科学する23~神経障害性疼痛疼痛を科学する23~三叉神経痛 "この世で最悪の痛み
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はじめに
三叉神経痛はしばしば "この世で最悪の痛み" と表現される重度の片側性・発作性顔面痛である。三叉神経痛は特徴的な電撃痛をきたすことから抗てんかん薬などの薬物療法が中心であるが、そのほかに外科的治療も重要である点が特徴である。
Ⅰ. 定義・疫学
定義


症状
三叉神経痛の症状は非常に特徴的であり、典型的には片側顔面に "突き刺すような" または "電気が走るような" 痛みが突発的に出現し、数秒持続して終了する発作が反復する。第2・3枝領域の分布が多く、歯痛と間違われることもある。
三叉神経痛は洗顔、ひげそり、喫煙、会話、歯磨きなどのトリガー因子によって誘発される。鼻唇溝やオトガイなどの狭い領域に "トリガー・ポイント" と呼ばれる疼痛誘発部位が存在するのも特徴である。
病因および分類
三叉神経痛の80〜90%はループ状に蛇行した血管(多くは動脈)の三叉神経根のroot entry zone(REZ)への圧迫が原因と考えられている。


三叉神経痛の診断には、痛みの性状の詳細な聴取が最も重要である。国際頭痛分類第2版による診断基準では、発作性で激痛・鋭い痛みを呈し、トリガー域から発生するかまたはトリガー因子により発生する点が鍵となる。
検査
頭部MRI が最も重要な検査の一つである。通常のT1・T2・FLAIR画像では多くの場合正常であるが、3D-CISS法に代表される脳槽MRI撮影は圧迫血管の描出が可能であり、多発性硬化症によるREZの脱髄病変の同定も可能な場合がある。
瞬目反射(blink reflex) は高い特異度(94%)および感度(87%)をもつことから、症候性三叉神経痛を典型的三叉神経痛との鑑別に有用である(グレードA)。
Ⅲ. 治療
薬物療法の概説
三叉神経痛の薬物療法はカルバマゼピンなどの抗てんかん薬を中心に研究が進められた。三叉神経痛の多くは部分的または完全な寛解・再発を繰り返しながら生涯持続するため、患者に疼痛の程度や頻度に合わせて内服量の調節をしながら継続することが必要である。
薬剤 | 選択 | エビデンス | 有効性 | 主な副作用 |
カルバマゼピン | 第一 | Class I | 72% NNT=1.8 | 眠気・めまい・血球減少・肝障害 |
oxycarbazepine | 第一 | Class I | 91%で発作減少 | めまい・低Na血症(未承認) |
バクロフェン | 第二 | Class II | 70% NNT=1.4 | 傾眠・めまい・幻覚・せん妄 |
ラモトリギン | 第二 | Class II | 77%で軽減 | 眠気・めまい・皮膚障害・肝障害 |
ガバペンチン | 第三 | Class V | 53%で軽減 | 眠気・めまい・急性腎不全 |
プレガバリン | 第三 | Class V | 74%で軽減 | めまい・眠気・頭痛(未承認) |

薬物療法に反応がみられない患者においては、外科的治療により疼痛の寛解を含む良好な効果が期待できる。外科的治療には微小血管減圧術・定位放射線治療・三叉神経ブロックがあり、それぞれに利点や欠点がある。


実際の診療においては、治療を開始する前にすべての治療選択肢についてのインフォームド・コンセントを行ったうえで、患者の意思を最大限に尊重した治療法を選択することが重要である。


三叉神経痛の診療においては、三叉神経痛に特徴的な疼痛の把握、典型的または症候性三叉神経痛の鑑別、三叉神経REZにおける圧迫血管の有無の確認、アルゴリズムを参考にした薬物療法、外科的治療の検討が重要である。





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