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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する10~超音波画像の見方入門:基本走査・エコーレベル・描出の実際

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月30日
  • 読了時間: 2分

1. 縦断・横断走査の基本

● 体幹部の走査法

  • 縦断像(長軸):モニター画面の左が「患者の頭側」、右が「足側」

  • 横断像(短軸):モニター画面の左が「患者の右側」、右が「左側」

● 四肢の走査法

  • 縦断像(長軸):画面左が「近位」、右が「遠位」

  • 横断像(短軸):画面左が「外側」、右が「内側」

💡モニターの左右は体位とボディマークにより変わるので、確認してから評価しましょう。

2. エコーレベルの基礎知識

エコー画像では、組織の密度や反射特性により以下のように分類されます。

種類

特徴

表現

高エコー

強く反射し白く映る

骨、結石、脂肪の境界など

等エコー

周囲組織と同等の明るさ

一部筋肉、臓器境界

低エコー

弱く反射し黒っぽく映る

筋肉、実質臓器など

無エコー

音が通過し完全に黒くなる

液体(尿、血液、嚢胞など)

3. 組織別のエコー像の見え方

● 実質臓器(例:筋肉・肝臓など)

  • 低エコー~等エコーの層構造

  • 筋肉:横縞構造(筋繊維)

● 骨・関節

  • 骨表面は白く強い反射(高エコーライン)

  • 骨の内部は音が届かず、後方減衰(シャドー)

● 液体(膀胱・血腫など)

  • 無エコーとして黒く抜ける

  • 境界は白い輪郭線

4. 走査部位別エコー像の実例(図5より)

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部位

観察画像と所見例

前腕

骨・血管・筋肉層を確認(尺骨・橈骨の区別)

下肢血管

カラードプラで血流確認、静脈瘤やDVTの評価

皮下組織

脂肪層・筋膜の厚み・浮腫の有無

5. 機器による画像差と精度

● 装置による膀胱画像の違い(図1参照)

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  • 同じ被検者でも、機種によって尿の無エコー領域の輪郭に差が出る

  • 高画質な機種ほど、膀胱壁や内容物の境界が明瞭

● 尿量計測精度(図2)

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  • 複数機種による測定結果の比較では、おおむね実測値と良好な相関あり(r = 0.85〜0.94)

  • 信頼性の高い手持ち型装置でも、使い方と観察者の技術により再現性は変化する

まとめ:エコー画像を読む力を磨こう

  • 「何が白く」「何が黒く」映るかは、エコーレベルの基本を知ることで理解できる

  • 見え方には体位やボディマークの向き、プローブの持ち方も影響する

  • 装置の特性も画像の明瞭さや計測値に影響を与えるため、目的に応じた機種選定が重要

🔍 実践のヒント

  • 肉眼でわかりづらい浮腫や血流変化も、エコーでは客観的に評価できます

  • 頻用プローブ(リニア・コンベックス)を理解し、基準画像と比較する習慣をつけましょう

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