在宅医療における褥瘡管理を科学する35~栄養管理の視点をやさしく解説 低栄養予防の観察・脱水の徴候・必要エネルギーの算出
- 2 日前
- 読了時間: 3分
① 褥瘡チームとNSTの合同カンファレンス
栄養障害患者には褥瘡発生リスクがあります。発生した場合は、褥瘡チームとNSTチームでの合同カンファレンスを行い、効果的な環境調整を行います。
褥瘡と栄養は切り離せない関係にあります。局所の処置を担当するチームと、栄養を担当するチームが別々に動いていては、どちらの努力も十分に実を結びません。創を診る目と、全身を診る目を同じテーブルに乗せることが、環境調整の出発点になります。
② 低栄養(褥瘡)予防として実際に取り組めること


また、異常気象などの際は脱水症状の患者が多発します。脱水では、検査値の異常と身体・生活面の確認事項を組み合わせて評価します。
検査

身体・生活面のチェック
体重減少
口渇
頻尿
下痢・嘔吐
発熱
高血糖
尿量の増加
利尿薬服用
高蛋白栄養剤
注意したい落とし穴
脱水では血液が濃縮され、アルブミンやヘマトクリットが「見かけ上」上昇します。低栄養があっても数値が保たれて見えるため、水分状態を無視した栄養評価は判断を誤らせます。
④ 栄養管理の目安(目標とする検査値)
栄養管理の目安 | |
血清アルブミン値 | 2.5g/dL以上(3.0g/dL以上に保たなければ、十分な治療効果は望めない) |
ヘモグロビン | 10g/dL以上(できれば11g/dL以上が望ましい) |
空腹時血糖値 | 80〜110mg/dL |
血清鉄 | 80〜160µg/dL |
血清亜鉛 | 70〜150µg/dL |
血清銅 | 80〜130µg/dL |
血清ビタミンC | 2〜15µg/mL |
血清ビタミンA | 400〜1200µg/mL |
血清ナトリウム | 137〜147mEq/L |
血清カルシウム | 8.5〜10.3mg/dL |
第ⅩⅢ因子 | 70%以上 |
⑤ 必要エネルギー量の求め方(BEE)

体重50kgの女性・寝たきりの場合:
BEE = 10.8 × 50 + 620 = 1,160 kcal/日
エネルギー必要量 = 1,160 × 1.2(寝たきり)= 約1,392 kcal/日
在宅診療の視点から
在宅では毎月の採血が難しいことも多く、実際には体重の推移と食事摂取量の記録が最も現実的な指標になります。「今月は何kgでしたか」と毎回同じ問いを重ねることで、単発の数値では見えない下降トレンドが浮かび上がります。また、猛暑や寒波の時期は脱水が一気に増えます。訪問時に口腔内の乾燥、腋窩の湿り、尿の色を確認する習慣をつけておくと、採血に頼らずとも早期に気づけます。
栄養障害患者には褥瘡発生リスクがあり、発生時は褥瘡チームとNSTの合同カンファレンスで環境調整を行います
低栄養予防の実践は、毎月の体重測定・食事摂取量の観察・食事状況の観察・検査値の変化の4つ。いずれも「1回の数値」より「変化」を見ることが要点です
早期のリスク把握とハイリスク患者への適切な栄養管理で、褥瘡を“つくらない”環境をめざします
脱水では検査値異常(血液濃縮による見かけ上の上昇に注意)と、体重減少・口渇・発熱・利尿薬服用などの確認事項を組み合わせて評価します
アルブミンは2.5g/dL以上が最低ライン、3.0g/dL以上に保たなければ十分な治療効果は望めません
必要エネルギー量は BEE × 活動係数 × 損傷係数 で算出します(男:14.1×体重+620/女:10.8×体重+620)
本記事は医療・介護職向けの一般的な情報提供を目的としたものです。掲載した検査値の目安は書籍の記載に基づくものであり、施設ごとの基準値や個々の病態(腎機能・心機能など)により適切な目標値は異なります。実際の判断は主治医・管理栄養士にご確認ください。





コメント