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創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する18~【褥瘡ケア】痛みを伴う創部へのやさしい対応とは

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 6月27日
  • 読了時間: 3分
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  • 〜患者負担を軽減するドレッシング材の選び方〜

    褥瘡の治療では、創の状態に加え、「痛み」の有無も材料選択において非常に重要なポイントです。今回のケースでは、「d2-e1-s6-i1-g0-n3-p0(DESIGN-Rスコア)」の状態=表皮〜真皮にかけた損傷、軽度感染と壊死組織あり、痛みを伴う創への対応について解説します。

    🔍 Case:痛みを伴う創部(d2・i1・n3)


    評価:d2-e1-s6-i1-g0-n3-p0特徴:痛みの訴えあり、黄色壊死組織が一部付着、周囲発赤・軽度感染あり

    ✅ 推奨されるドレッシング材(複数選択可)

    ① ポリウレタンフォーム(ソフトシリコンタイプ)

    • 剥離時の疼痛が非常に少ない

    • 創面への粘着性がないため刺激が少ない

    • 滲出液の吸収力もあり、感染防止にも一定の効果

    ② ハイドロジェル(シートタイプ)

    • 創面を保湿しながら壊死組織を自溶的に除去

    • 冷感と保湿効果で創痛をやわらげる

    ③ キチンシート

    • 天然素材由来で生体親和性が高く、刺激が少ない

    • 上皮化促進が期待でき、創の修復にも寄与

    ❌ 適さない選択

    • 「ガーゼ単独」使用は避けるべき

      • 剥離時に創面の損傷や疼痛の増強を引き起こす可能性がある

      • 滲出液を吸収しきれず、感染や乾燥のリスクも高まる

    💬 選択理由のまとめ

材料

特徴・メリット

ポリウレタンフォーム+シリコン

剥離時の痛み軽減、吸収力あり

ハイドロジェル(シート)

自溶除去+保湿+疼痛緩和

キチン製剤

創への刺激が少なく、再生促進にやさしい

ガーゼのみ

× 創損傷・疼痛増悪リスクが高く推奨されない

📌 痛みを伴う褥瘡創における対応のコツ

  • 素材は「低刺激・低粘着」なものを優先的に使用

  • 壊死組織の除去と感染対策は外用剤で補完しつつ、ドレッシングは“優しさ”重視

  • 患者さんの表情や反応を観察しながら、痛みの軽減ができているかを定期評価

痛みがある褥瘡は、「治療」よりもまず「苦痛を和らげるケア」から。ドレッシング材は、「貼る・剥がす」が患者さんのQOLに直結します。在宅や施設でも活用しやすいやさしい材料選びを意識していきましょう。🌸 スキン‐テアの正しい理解とケアで患者さんのQOLを守ろう

 
 
 

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