創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する16~【症例で学ぶ褥瘡ケア】柔らかい壊死と感染創への外用剤選択
- 賢一 内田
- 6月25日
- 読了時間: 3分
〜創の状態に合わせた適切な局所療法を考える〜
褥瘡治療において、創の性状に応じた外用剤の選択は、治癒経過を左右する重要な要素です。今回は「柔らかい壊死組織を伴う創」と「感染兆候を伴う仙骨部褥瘡」の症例を例に、適切な外用剤の選択とその理由について解説します。
Case 1:柔らかい壊死組織(N3)

評価スコア:DU-e3-s8-i0-G6-N3-p0部位:仙骨部特徴:滲出液多め、軟化した壊死組織が認められる、感染所見なし
✅ 選択すべき外用剤(2つ)
カデキソマーヨウ素
デキストラノマー
💡選択理由
カデキソマーヨウ素は、ヨウ素による持続的な殺菌効果と同時に、壊死組織や滲出液を吸着・除去する性質をもち、湿潤環境を保ちつつデブリードマンが可能です。
デキストラノマーも吸収性に優れ、創内の老廃物や過剰滲出液を除去し、**自然な治癒環境(肉芽形成)**を整える点で有効です。→ どちらも侵襲が少なく、軟化した壊死に対してマイルドな除去が可能です。
Case 2:感染兆候を伴う仙骨部褥瘡

評価スコア:DU-e3-s8-i0-G6-N3-p0部位:仙骨部、熱感・周囲発赤あり創内に黄色調の浸出物、やや悪臭を伴う
✅ 選択すべき外用剤(2つ)
カデキソマーヨウ素
ポビドンヨードシュガー
💡選択理由
カデキソマーヨウ素は前述の通り、感染抑制と壊死除去を兼ねたマルチな働きを持ちます。
ポビドンヨードシュガーは、ヨードによる強い抗菌作用と糖分による滲出液の調整・創面の浸軟作用があり、感染創に適応がある代表的製剤です。
Case 3:深部壊死組織を伴う創(N6)
評価:D4-E6-S15-I1-G4-N6-P0創内に厚く硬い壊死痂皮、排膿はなし
✅ 適切な外用剤(1つ)
ブロメライン軟膏
💡選択理由
ブロメラインはパイナップル由来のタンパク分解酵素であり、硬く厚い壊死組織に対して選択的にデブリードメントを行える外用酵素製剤。感染兆候がなければ第一選択に挙げられます。
📝 まとめ:壊死と感染に対する外用剤の選び方
状態 | 推奨外用剤(例) | ポイント |
軟らかい壊死(N3) | カデキソマーヨウ素、デキストラノマー | 吸収性+壊死除去効果 |
感染創(e3、i1) | カデキソマーヨウ素、ポビドンヨードシュガー | 抗菌+デブリードメント |
硬い壊死(N6) | ブロメライン | 酵素的デブリードマン |
創の見た目とDESIGN-Rのスコアを合わせて評価することで、外用剤の選択に根拠を持たせたケアが可能になります。🌸 スキン‐テアの正しい理解とケアで患者さんのQOLを守ろう
スキン‐テアは高齢者に多く見られる創傷であり、正確な評価と分類がとても大切です。STAR分類を活用し、早期発見・適切な対応につなげましょう。
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