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リウマチを科学する40 関節リウマチの治療の考え方

6 分前
読了時間: 4分

関節リウマチの治療の考え方

〜「早く始めて、目標を決めて治す」2つの原則〜

対象:患者さん・ご家族/医療・介護スタッフの皆さん

診断がついたら、いよいよ治療です。薬の話に入る前に、今回は「何を目指して治療するのか」という土台の考え方を整理します。

1治療の目標は「痛みをとる」だけではない

関節リウマチの中心となる症状は関節の痛みです。ですから「痛みをなくす」ことが目標、と考えたくなります。もちろんそれも大切です。

けれども長い目で見ると、それだけでは足りません。痛みがある程度よくなっても、関節の炎症が続くと、ダメージが少しずつ積み重なり、関節の変形や破壊が起きてしまいます。そして、ひとたび壊れた関節は元通りには戻りません。

関節リウマチは、QOL(quality of life:生活の質)を大きく下げてしまう病気なのです。そこで、治療の目標は次の3段階になります。
関節リウマチは、QOL(quality of life:生活の質)を大きく下げてしまう病気なのです。そこで、治療の目標は次の3段階になります。
関節が壊れる原因は炎症です。だからこそ、関節の炎症を抑え込む=疾患活動性を下げることが、もっとも重要になります。
関節が壊れる原因は炎症です。だからこそ、関節の炎症を抑え込む=疾患活動性を下げることが、もっとも重要になります。

2治療の2つの原則

原則1早く始める ── window of opportunity

関節リウマチが始まると、炎症によるダメージが積み重なり、関節破壊が進みます。とくに最初の1〜2年で大きく進むと考えられています。

まだ関節破壊が進んでいないこの発症早期の期間を、window of opportunity(治療機会の窓)と呼びます。この「窓」が開いているうちに治療を始めて病気をコントロールできれば、関節の変形を防げると考えられています。

早く始めるほど、良いことが多い
早く始めるほど、良いことが多い

早く治療を始めたほうが薬への反応も良く、症状を抑えるだけでなく、治ってしまう可能性も出てくるといわれています。

原則2目標を決めて治す ── T2T(Treat to Target)

早く始めても、炎症を抑えられなければ意味がありません。国内外のガイドラインでは、治療を始めたら6ヵ月以内に、病気の勢いが落ち着いた状態を目指すことが推奨されています。

この「目標を掲げて治療を進める」戦略をTreat to Target(T2T)と呼びます。ひとことで言えば──

3「疾患活動性」はどうやって測るのか
3「疾患活動性」はどうやって測るのか

疾患活動性とは、関節リウマチの病勢、つまり関節の炎症や症状の程度をあらわす言葉です。「落ち着いた状態」を目指すには、それを数字で測る必要があります。ここでは比較的シンプルなCDAI(clinical disease activity index)を例に見てみましょう。

材料①② 診察で数える2つの関節数

次の28関節を診察し、押して痛い関節(圧痛関節数)と、腫れている関節(腫脹関節数)を数えます。

PIP関節 ×8母指IP関節 ×2MCP関節 ×10手首 ×2肘 ×2肩 ×2膝 ×2

※足の関節は28関節に含まれません。

材料③④ 患者さんと医師による「全般評価」

長さ10cmの線(VAS:visual analogue scale)に、この1週間の体調を線で記入していただき、左端からの長さ(cm)を測ります。これが患者による全般評価。医師も同じように評価したものが医師による全般評価です。

SDAIは、CDAIに血液検査のCRPの値を足したものです。
SDAIは、CDAIに血液検査のCRPの値を足したものです。

点数で4段階に判定する

CDAI:寛解 ≦2.8/低 ≦10/中 ≦22/高 >22  SDAI:寛解 ≦3.3/低 ≦11/中 ≦26/高 >26
CDAI:寛解 ≦2.8/低 ≦10/中 ≦22/高 >22  SDAI:寛解 ≦3.3/低 ≦11/中 ≦26/高 >26

計算してみよう(架空の例)

項目

値

圧痛関節数

3

腫脹関節数

2

患者による全般評価

3.0 cm

医師による全般評価

2.0 cm

CRP

0.5 mg/dL

CDAI = 3+2+3.0+2.0 = 10.0 → 低疾患活動性


SDAI = 10.0+0.5 = 10.5 → 低疾患活動性

※このほかDAS28(Disease Activity Score 28)もよく使われます。計算式が複雑なため、計算アプリ(MDCalcなど)を使うと便利です。

患者さんへ:あなたの「体調の線」も大切なデータです

受診のたびに関節を押したり、体調を線で書いていただいたりするのは、治療の効果を数字で確かめ、「目標に届いているか」を一緒に判断するためです。痛みや疲れ、困っている動作など、遠慮なくそのままお伝えください。

今回のまとめ

  • 治療の目標は、関節の炎症を取り除いて関節破壊の進行を防ぎ、QOLの低下を防ぐこと

  • 原則1:治療機会の窓(window of opportunity)が開いている早期に治療を始める

  • 原則2:寛解または低疾患活動性を目指して治療する(T2T)

  • 疾患活動性はCDAI・SDAI・DAS28などで数値化して判定する

#関節リウマチ#治療目標#QOL#windowofopportunity#T2T#寛解#疾患活動性#CDAI#SDAI#DAS28#在宅医療#さくら在宅クリニック

※本記事は一般的な医学情報をわかりやすくお伝えするために内容を簡略化しています。グラフは考え方を示す概念図、計算例は説明用の架空の例です。実際の治療目標や方針は、お一人おひとりの状態によって異なります。必ず主治医にご相談ください。

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