top of page

リウマチを科学する17 抗核抗体は、どんなときに測るのか染色型が教えてくれること、教えてくれないこと

14 分前
読了時間: 4分

抗核抗体は、どんなときに測るのか染色型が教えてくれること、教えてくれないこと

前回は「抗核抗体は健康な人でも陽性になる」という話をしました。では、いつ測ればよいのでしょうか。今回は測定するタイミングの考え方と、結果に併記される染色型の読み方、そして抗核抗体では拾えない自己抗体について整理します。主に医療・介護スタッフの皆さま向けですが、検査結果の意味を知りたい患者さんにも読んでいただける内容です。

#抗核抗体#染色型#疾患特異的抗体#検査の考え方#抗dsDNA抗体#抗セントロメア抗体#レイノー現象#間質性肺炎#IPAF#不明熱#ANCA#抗DFS70抗体

1|答えは「関連する疾患を疑うとき」

やみくもに測れば偽陽性ばかりになる——これが前回の結論でした。裏返すと、測るべきなのは抗核抗体に関連する疾患を疑ったときだけ、ということになります。当たり前に聞こえますが、実際の現場では「一応まとめて出しておく」ことになりがちな検査です。では、具体的にどんな所見があれば疑うのでしょうか。

測定を検討するのはこんなとき

① SLEに特徴的な症状・検査所見がある ② レイノー現象がある ③ 間質性肺炎がある ——いずれも「抗核抗体に関連する疾患」を具体的に思い浮かべられる状況です。

① SLEを思わせる所見がある

抗核抗体に関連する疾患の代表格がSLE(全身性エリテマトーデス)です。次のような所見がそろってくれば、抗核抗体を測る良いタイミングといえます。

蝶形紅斑関節炎胸水心嚢液貯留血球減少蛋白尿尿沈渣の異常円柱

特に血球減少尿所見の異常は、健診や採血の「ついでの項目」として見つかることが多く、症状として訴えられないぶん見逃されやすいポイントです。

② レイノー現象がある

レイノー現象は、寒さや緊張で指先の色が白→紫→赤と変化する現象です。抗核抗体に関連する膠原病に共通してみられる症状なので、これがあれば積極的に測定してよい場面といえます。

③ 間質性肺炎がある
③ 間質性肺炎がある

間質性肺炎は、全身性強皮症・皮膚筋炎・シェーグレン病でしばしばみられます。これらを疑う症状があれば、抗核抗体を測定してよい場面です。

近年は、抗核抗体などが陽性で「膠原病らしさ」を帯びた間質性肺炎をIPAF(interstitial pneumonia with autoimmune features)と呼ぶ概念も使われています。膠原病と診断しきれないが、自己免疫の関与が疑われる一群です。

2|「発熱だけ」は測る理由にならない

「不明熱のスクリーニングとして抗核抗体を提出しました」——よく聞く話ですが、これは考え直したい使い方です。発熱は非特異的な症状であり、原因は感染症かもしれませんし、悪性腫瘍かもしれません。

3|染色型から、次の一手が見えてくる
3|染色型から、次の一手が見えてくる

抗核抗体の結果には、希釈倍率とともに染色パターン(染色型)が記載されています。核のどこが光ったかというパターンで、ここから次に調べるべき疾患特異的抗体——ある疾患に特徴的に検出される自己抗体——をある程度予測できます。

いちばん分かりやすいのがDiscrete-Speckled型(セントロメア型)です。このパターンなら、全身性強皮症でみられる抗セントロメア抗体が対応します。他のパターンでは対応する抗体が複数あるため、暗記するより、その都度この表で確認するのが現実的です。
いちばん分かりやすいのがDiscrete-Speckled型(セントロメア型)です。このパターンなら、全身性強皮症でみられる抗セントロメア抗体が対応します。他のパターンでは対応する抗体が複数あるため、暗記するより、その都度この表で確認するのが現実的です。

抗核抗体の染色型と疾患特異的抗体の関係




抗核抗体の染色型と疾患特異的抗体の関係

染色型

疾患特異的抗体

関連する疾患

Homogeneous型(均質型)


Peripheral型(辺縁型)

抗dsDNA抗体

SLE

Speckled型(斑紋型)

抗RNP抗体

MCTD、SLE

抗Sm抗体

SLE

抗SS-A抗体

シェーグレン病、SLE

抗SS-B抗体

シェーグレン病

抗Scl-70抗体

全身性強皮症

Nucleolar型(核小体型)

抗RNAポリメラーゼⅢ抗体

全身性強皮症

Discrete-Speckled型(セントロメア型)

抗セントロメア抗体

全身性強皮症

Cytoplasmic型(細胞質型)

抗ARS抗体

皮膚筋炎・多発性筋炎

抗SS-A抗体

シェーグレン病

健常者で陽性になりやすい抗体もあります。

4|抗核抗体では拾えない自己抗体も多い

抗核抗体が見ているのは、あくまで核の中にある抗原に反応する抗体です。対応する抗原が核の外=細胞質にあれば、抗核抗体は陽性になりません。

このように、抗核抗体がカバーしているのは疾患特異的抗体の一部にすぎません。万能の診断ツールではないからこそ、ここぞという場面で測ることが大切になります。
このように、抗核抗体がカバーしているのは疾患特異的抗体の一部にすぎません。万能の診断ツールではないからこそ、ここぞという場面で測ることが大切になります。

5|抗核抗体のまとめ

2回にわたってお伝えしたポイント

・抗核抗体は健常者でも一定の確率で陽性になる。・診断に直結する膠原病は、SLE・全身性強皮症・MCTDくらいしかない。・悪性腫瘍や感染症でも陽性になることがある。・発熱だけでは、抗核抗体を調べる理由にならない。・染色型は次に調べる自己抗体のヒントになるが、細胞質の抗体(ANCA・抗ARSなど)は拾えない。


コメント


© 2021 湘南在宅研究所 All Rights Reserved.

情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬を処方しておりません

bottom of page