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リウマチを科学する12 赤沈(ESR)〜CRPとの「合わせ技」で使おう〜

12 分前
読了時間: 3分

赤沈(ESR)〜CRPとの「合わせ技」で使おう〜

赤沈は単独ではやや使いにくい検査ですが、CRPと組み合わせると診断の強い味方になります。まずは赤沈の正体としくみを押さえ、その上で「CRPとの合わせ技」を身につけましょう。

 

赤沈(ESR)赤血球沈降速度急性期蛋白グロブリンCRPとの乖離SLE多発性骨髄腫

赤沈とは?

赤沈(せきちん)は「赤血球沈降速度」の略。その名の通り、血液中で赤血球が沈む速さを表します。抗凝固剤を加えた血液を細い管に入れて垂直に立て、1時間後に赤血球が沈んだ上澄み(血漿)の長さ(mm)を測ります。数値が高ければ赤沈亢進、低ければ赤沈遅延です。

なぜ赤沈は亢進するの?
なぜ赤沈は亢進するの?

ふだん赤血球は表面に負電荷(−)を持ち、互いに反発し合うことで、くっつかずにバラバラに漂っています。ところが炎症で増える急性期蛋白(フィブリノーゲンやハプトグロビンなど)は正電荷(+)を持ち、赤血球の負電荷を打ち消してしまいます。すると赤血球どうしがくっついて塊(連銭形成)になり、速く沈む=赤沈が亢進します。

赤沈が亢進する主な要因
赤沈が亢進する主な要因
  • 炎症(急性期蛋白の増加:フィブリノーゲン・ハプトグロビン など)

  • 抗体を含むグロブリンの増加(SLE・シェーグレン病 など)

  • 多発性骨髄腫(腫瘍性に抗体を大量産生)

  • 低アルブミン血症・貧血

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赤沈は「やや非特異的」で「変動が遅い」


このように赤沈は炎症だけでなく非炎症性の病態でも亢進します。しかもCRPより変動が遅いため、早期の炎症の検出には不向きです。

CRPと赤沈を「組み合わせて」読む

単独では使いにくい赤沈も、CRPと並べて動きを比べると威力を発揮します。まずは2つの性格のちがいを整理しましょう。

比べる点

CRP

赤沈(ESR)

反応の速さ

速い(数時間〜)

遅い(数日)

早期炎症の検出

得意

不向き

グロブリン増加

影響を受けにくい

亢進する

特異性

非特異的

やや非特異的

ねらいは「2つの動きのズレ(乖離)」


CRPと赤沈が同じ方向に動かないときにこそ、鑑別のヒントが隠れています。とくにSLEの診療で大いに役立ちます。

「乖離」パターンの読み解き

パターンA:CRPは正常〜軽度なのに、赤沈が高度亢進

SLEは(一部の例外を除き)CRPがあまり上がらない一方、抗体産生が増えて赤沈が亢進します。このCRPと赤沈の乖離がSLEの典型パターンです。

同じ乖離は多発性骨髄腫・M蛋白血症のほか、ネフローゼ症候群・妊娠・心不全でもみられることがあります。

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パターンB:SLEの患者さんでCRPが大幅に上昇 → まず感染症を疑う


SLEの悪化でCRPが大きく上がることは通常ありません。多くのSLE患者さんはステロイドや免疫抑制剤で免疫が下がり感染症に弱い状態です。SLEでCRP高値をみたら、すぐに感染症を考えて評価を始めましょう。

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赤沈のまとめ

1

赤沈は炎症だけでなく グロブリン増加 でも亢進する(やや非特異的・変動が遅い)

2

CRPと赤沈の 動きが乖離 するときは SLEや多発性骨髄腫 を疑う

3

SLE患者さんで CRP高値 をみたら、まず 感染症 を考える

※本記事はリウマチ・膠原病の検査の考え方を、医療スタッフ・学ぶ方向けにやさしく整理したものです。検査値の解釈は個々の状況により異なり、実際の診断・治療は主治医の判断によります。


さくら在宅クリニック

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