【褥瘡(じょくそう)の感染をどう見極める?どう治療する?】
- 賢一 内田
- 6 分前
- 読了時間: 2分

褥瘡(床ずれ)が感染しているかどうかは、以下の「感染の4徴候」があるかで判断します。
熱感(触ると熱い)
発赤(赤くなっている)
腫脹(腫れている)
疼痛(痛みがある)
これらのサインがある場合、褥瘡感染を疑うべきです。
【感染しているからといって“消毒”していませんか?】
褥瘡感染があると、「とりあえず消毒薬を入れておこう」と思ってしまいがちです。しかし、それは大きな間違いです。
イソジンシュガー、カデックス軟膏、ユーパスタなどの消毒薬は、感染褥瘡には原則使用してはいけません。
なぜなら、これらの薬剤には殺菌作用がある一方で、組織障害作用もあるからです。
実際には、
組織障害作用 > 殺菌作用
という構図になってしまいます。
つまり、菌を殺す以上に、創部そのものを傷めてしまうのです。
たとえば、ステージ2(浅い褥瘡)が、消毒薬の影響でステージ4(深い褥瘡)になってしまう…そんなことも実際に起こります。
【褥瘡は「細胞を育てて治す」もの】
褥瘡の創面は、例えるなら「細胞を培養しているシャーレ」のようなもの。
そこに消毒薬を入れてしまうとどうなるか…。イメージできる方も多いのではないでしょうか。
【褥瘡感染の治療原則はこの3つ】
褥瘡感染の治療は、以下の3本柱が基本です。
① デブリドマン(壊死組織の除去)
壊死した組織は、自然に健康な皮膚に戻ることはありません。必ず切除が必要です。
② ドレナージ(排膿)
感染して膿がたまった場合は、膿の出口を作る処置が不可欠です。※膿の中には抗生剤が届きません。
③ 抗生剤(内服または点滴)
抗生剤は全身投与が原則です。塗り薬では感染を治すことはできません。血流にのせて、全身から感染を叩きます。
この3つのアプローチは、褥瘡に限らず、すべての感染症に共通する治療の基本原則です。
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