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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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誤嚥性肺炎を科学する24~口腔保清
― 誤嚥性肺炎を防ぐための「基本であり最重要ケア」― こんにちは。今回は「口腔保清(こうくうほせい)」について整理します。 口腔ケアには大きく2つあります。 機能的口腔ケア(嚥下・発語機能への介入) 口腔保清(清潔保持) どちらか一方だけでは不十分です。 丁寧な保清があってこそ、誤嚥性肺炎予防の効果が最大化します。 口腔保清の基本ステップ ① 歯磨き 歯がある場合、歯磨きは最重要です。 歯垢は「細菌の塊」。歯と歯の間、歯と歯肉の境目は特に残りやすい部位です。 機械的に除去することが基本です。 ② 粘膜清掃 細菌は歯だけに存在するわけではありません。 頬粘膜 歯ぐき 口蓋 にも付着しています。 スポンジブラシなどで優しく機械的に清掃します。 ③ 舌のブラッシング 舌は構造が複雑で、細菌が付着しやすい部位です。 舌苔の増加は、✔ 細菌増殖✔ 口臭✔ 誤嚥リスク増大 につながります。 舌専用ブラシを使用し、傷つけないように行います。 ④ うがい・排出 清掃後、細菌は口腔内に散らばっています。 そのままでは唾液とともに誤嚥されます。 可能ならうがい 困難
2月18日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する23~義歯装着と清掃
― 義歯は「細菌の貯蔵庫」になっていませんか? ― こんにちは。今回は「義歯の装着と清掃」について、在宅医療の視点から整理します。 義歯は、正しく使えば咀嚼・嚥下を助ける大切な装置です。しかし、清掃が不十分であれば―― 義歯は“口腔内細菌のリザーバー(貯蔵庫)”になります。 誤嚥性肺炎予防の観点からも、義歯管理は極めて重要です。 義歯の基本原則 ✔ 覚醒時に装着 ✔ 就寝時は外す これは基本ですが、現場では例外もあります。 認知症で外すと不穏になる 顎関節症で外せない指示がある 外すと残存歯に負担がかかる その場合でも、 1日のうち合計6時間程度は外す時間を確保する ことが理想です。 義歯の長時間装着で起こること 粘膜代謝の低下 細菌・真菌の増殖 義歯性口内炎 粘膜損傷 残存歯の虫歯・歯周病 特に、口腔内細菌の約80%は嫌気性菌。義歯と粘膜の間は細菌にとって“理想的な環境”になります。 義歯の正しい清掃方法(3ステップ) ① 義歯ブラシで磨く 平らな毛束で広い面 尖った毛束で金属部や凹部 ※落下防止のため、洗面器に水を溜めて行う ② 義歯洗浄剤で
2月17日読了時間: 2分


在宅医療を科学する23~「そこに誰かいる?」パーキンソン病の幻視と実在感(FP)の違いを知る
こんにちは。さくら在宅クリニックです。 パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者様が、「知らない人が立っている」「誰かが後ろにいる気がする」といった、目に見えないはずのものを訴えられることがあります。 これらは単なる「気のせい」や「認知症の進行」だけではなく、脳の神経ネットワークが関係して起こる特有の症状です。「幻視」 と 「実在感(Feeling of Presence:FP)」の違いについて解説します。 1. 「幻視」とは:実際にはないものがハッキリ見える 幻視は、実際には存在しないものを、あたかも「見えている」と確信する知覚体験です。 視覚系の異常活動や、目から入った情報を正しく統合できない障害によって生じます。 主な原因疾患: レビー小体型認知症(典型的)やパーキンソン病、薬剤の影響(抗コリン薬など)。 脳の仕組み: 視覚情報を処理する「視覚連合野」の過剰な活動や、注意機能のネットワークの解離が関わっています。 2. 「幻視」と「実在感(FP)」の違い 「見える」という体験は、その鮮明さや本人の受け止め方によって大きく2つに分けられま
2月17日読了時間: 3分


誤嚥性肺炎を科学する22~義歯不適合の影響
―「噛める」は守れているか?誤嚥性肺炎との意外な関係― こんにちは。今回は「義歯(入れ歯)」が誤嚥性肺炎リスクにどのように関わるのかを、在宅医療の視点から整理します。 在宅現場でよくある言葉です。 「入れ歯、合ってないけど使ってます」「なくても食べられるから大丈夫」 本当にそうでしょうか? 義歯の本来の役割 義歯は単に“噛むための道具”ではありません。 ✔ 食物を粉砕する ✔ 食塊を形成しやすくする ✔ 下顎を安定させ嚥下運動を助ける ✔ 発音を明瞭にする ✔ 顔貌を保つ つまり、 咀嚼と嚥下の連動を支える装置 です。 義歯が合わないと何が起こるか? 不適合義歯は、 食物が義歯の内側に溜まる 痛みで咀嚼回数が減る 義歯が浮き上がる 口腔内に傷ができる 結果として、 ▶ 食物や唾液とともに細菌を誤嚥するリスク増加 ▶ 咀嚼嚥下筋群の使用低下 ▶ サルコペニア進行 へとつながります。 「義歯を使わなくても食べられる」は危険信号 歯がなくても食べられる方は確かにいます。しかし重要なのは、 咀嚼筋・嚥下筋が維持されているかどうか。 義歯は筋肉の代わりには
2月16日読了時間: 2分


在宅医療を科学する21~高齢者の「遅発性パラフレニー」とは?認知症との違いや治療法
「最近、一人暮らしの母が『近所の人が悪口を言っている』と怯えるようになった」「認知症かと思ったが、身の回りのことはしっかりできている……」 高齢の方にこのような症状が見られた場合、それは「遅発性パラフレニー(Late-Onset Paraphrenia)」かもしれません。今回は、聞き馴染みのない方も多いこの疾患について解説します。 遅発性パラフレニーとは? 遅発性パラフレニーは、 60歳以降に発症する統合失調症によく似た疾患 です。かつては高齢者特有の精神病として分類されていました。 主な特徴は以下の通りです。 妄想と幻聴が中心: 「誰かに嫌がらせをされている(被害妄想)」「自分に関係のないことまで自分に関係があると思い込む(関係妄想)」といった症状や、周りに誰もいないのに声が聞こえる幻聴が主体となります。 認知機能は保たれる: 認知症と異なり、記憶力や判断力、身の回りの自立度(ADL)は比較的保たれているのが特徴です。 幻視は少ない: レビー小体型認知症などで見られる「虫が見える」といった幻視はあまり見られません。 どのような人に多い?
2月15日読了時間: 2分


在宅医療を科学する20~パーキンソン病と向き合う:幻視への理解と、命を守る「お口のケア」
パーキンソン病(PD)といえば、手のふるえや歩きにくさといった「体の動き(運動症状)」がまず思い浮かぶかもしれません。しかし、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に患者様やご家族を悩ませるのが、「幻視」や「認知機能の変化」といった目に見えにくい症状です。 今回は、パーキンソン病に伴うこれらの症状との向き合い方についてお話しします。 1. 実際にはないものが見える「幻視」と「気配感」 パーキンソン病の比較的早い段階から現れることがあるのが、 幻視 や 気配感 です。 幻視: 「部屋の隅に知らない人が立っている」「壁のシミが虫に見える」といった、実際には存在しないものが見える症状です。 気配感: 誰もいないのに「すぐ後ろに誰かがいる気がする」「横を誰かが通り過ぎた気がする」と感じる現象です。 これらは脳内の情報のやり取りがスムーズにいかなくなることで起こる、病気特有の症状です。「本人の意識がしっかりしているのに、おかしなことを言う」と驚かれるかもしれませんが、「脳が見せている症状」であることを理解することが第一歩です。 2. 「物忘れ」とは少し
2月14日読了時間: 3分


在宅医療を科学する19~高齢者の「幻覚・幻聴」——その原因と知っておきたい5つの背景
在宅介護の中で、ご本人が「そこに誰かいる」「知らない人の声がする」と訴え、驚かれた経験はありませんか?高齢者の幻覚や幻聴は、単なる「物忘れ」や「認知症」の一言で片付けられるものではなく、さまざまな医学的背景が隠れています。 今回は、スライド資料に基づき、高齢者の幻覚・幻聴を引き起こす主な原因について解説します。 高齢者の幻覚・幻聴:なぜ起こるのか? 高齢者の幻覚(実際にはないものが見える)や幻聴(実際にはない音が聞こえる)には、主に5つの原因が考えられます。 1. レビー小体型認知症(DLB) もっとも代表的な原因の一つです。非常に鮮明な「幻視」が特徴で、「知らない子供が部屋の隅に座っている」「虫が這っている」といった具体的な訴えが多く見られます。 2. 老年期うつ病 高齢者のうつ病では、強い不安感とともに「自責的幻聴(自分を責める声)」や「被害妄想」が現れることがあります。単なる心の持ちようではなく、適切な治療が必要な病態です。 3. せん妄(せんもう) 身体の病気や環境の変化、入院などをきっかけに、脳が一時的に混乱状態に陥ることを指します。急
2月13日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する4~メカニズムとリスク
誤嚥性肺炎は、本来は食道へ送られるべき食べ物や唾液が誤って気道に入り、そこに含まれる細菌によって引き起こされる細菌性肺炎です。 原因は食べ物だけではない : 臥床(がしょう)時や就寝時にむせずに気道へ入っていく唾液も、重要な原因となります。 お口の健康が直結 : 口腔衛生状態を良好に保つことで細菌量を減らせますが、不良な場合は原因菌の保有量が増えてしまいます。 高い死亡率と後遺症 : 死亡率が約15%と高いだけでなく、回復後も食べる機能、身体機能、認知機能が低下し、QOLが悪化する恐れがあります。 なぜ発症するのか?「抵抗力」と「侵襲性」のバランス 誤嚥したからといって、必ずしも肺炎になるわけではありません。発症は、肺の「個体の抵抗力」 と、誤嚥物の 「侵襲性(しんしゅうせい)」のバランスが崩れた時に起こります。 肺の抵抗力(守る力) 誤嚥物の侵襲性(攻める力) 喀出力 : 咳で異物を出す力(咳嗽反射)、気道粘膜の機能 病原性 : 細菌の種類や化学的な強さ(酸・アルカリなど) 免疫力 : 局所リンパ球や好中球などの防御反応 量・侵入部位 :...
2月13日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する3~誤嚥性肺炎のメカニズムと「守る力」の重要性
高齢者の命と生活の質(QOL)に深く関わる疾患、それが「誤嚥(ごえん)性肺炎」です。単にお薬で治すだけでなく、日々のケアを通じて「発症させない、悪化させない」ための知識を深めましょう。 1. 誤嚥性肺炎とは:メカニズムとリスク 誤嚥性肺炎は、本来は食道へ送られるべき食べ物や唾液が誤って気道に入り、そこに含まれる細菌によって引き起こされる細菌性肺炎です。 原因は食べ物だけではない : 臥床(がしょう)時や就寝時に、むせずに気道へ入っていく唾液(不顕性誤嚥)も、重要な原因となります。 お口の健康が直結 : 口腔衛生状態が不良であれば細菌量が増え、発症リスクが高まります。 負の連鎖を防ぐ : 死亡率が約15%と高いだけでなく、回復後も「食べる機能」「身体機能」「認知機能」が低下し、生活の質(QOL)が悪化する恐れがあります。 2. なぜ発症するのか?「抵抗力」と「侵襲性」のバランス 誤嚥したからといって、必ずしも肺炎になるわけではありません。発症は、肺の「個体の抵抗力」 と、誤嚥物の 「侵襲性(しんしゅうせい)」のバランスが崩れた時に起こります。 肺の
2月12日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する2~誤嚥性肺炎とは:メカニズムとリスク
誤嚥性肺炎は、本来は食道へ送られるべき食べ物や唾液が誤って気道に入り、そこに含まれる細菌によって引き起こされる細菌性肺炎です。 原因は食べ物だけではない : 臥床(がしょう)時や就寝時にむせずに気道へ入っていく唾液も、重要な原因となります。 お口の健康が直結 : 口腔衛生状態が不良であれば細菌量が増え、発症リスクが高まります。 高い死亡率と後遺症 : 死亡率が約15%と高いだけでなく、回復後も食べる機能や身体機能、認知機能が低下し、生活の質(QOL)が悪化する恐れがあります。 なぜ発症するのか?「抵抗力」と「侵襲性」のバランス 誤嚥したからといって、必ずしも肺炎になるわけではありません。発症は、肺の「個体の抵抗力」 と、誤嚥物の 「侵襲性(しんしゅうせい)」のバランスが崩れた時に起こります。 肺の抵抗力(守る力) 誤嚥物の侵襲性(攻める力) 喀出力 : 咳で異物を出す力、気道粘膜の機能 病原性 : 細菌の種類や化学的な強さ(酸など) 免疫力 : 肺の免疫細胞(リンパ球、好中球など) 量・部位 : 誤嚥した量や、肺のどこまで入ったか 誤嚥性肺炎を防
2月11日読了時間: 2分


在宅医療を科学する16~なぜ高齢者は「おむつかぶれ」になりやすい?IADのメカニズムと皮膚の特徴
介護の現場で多くの方が悩まれる「おむつ周りの赤みやただれ」。これは単なる肌荒れではなく、IAD(失禁関連皮膚炎)という皮膚障害です。 なぜ高齢になると皮膚トラブルが起きやすくなるのか? そのメカニズムと高齢者特有の皮膚の状態について解説します。 1. 高齢者の皮膚はなぜ「弱くて脆い」のか? 加齢とともに、私たちの皮膚は外からの刺激に非常に弱くなります。主な特徴は以下の通りです。 バリア機能の低下 : 皮脂の欠乏や細胞間の脂質が減ることで、外からの刺激を通しやすくなります。 皮膚の菲薄化(ひはくか) : 皮膚が薄くなり、わずかな摩擦やズレでも傷つきやすくなります。 免疫力の低下 : 細菌やカビなどの感染症に対する抵抗力が落ちています。 感覚の鈍化 : 痛みや不快感に気づきにくく、発見が遅れることがあります。 2. IAD(失禁関連皮膚炎)発症のメカニズム IADは、尿や便が皮膚に長時間接触することで起こりますが、その裏には複数の悪循環が潜んでいます。 ① 皮膚の「ふやけ(浸軟)」 尿や便に含まれる水分によって、皮膚が白くふやけた状態になります。ふや
2月10日読了時間: 2分


誤嚥性肺炎を科学する1~「誤嚥性肺炎」:そのメカニズムと予防の重要性
高齢者の健康において、最も注意すべき疾患の一つが「誤嚥(ごえん)性肺炎」です。 今回は、当クリニックの資料をもとに、誤嚥性肺炎がなぜ起こるのか、そして防ぐために何が大切なのかを分かりやすくまとめました。 1. 誤嚥性肺炎とはどのような病気か? 誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液などが誤って気道(肺の方)に入ってしまうことで、そこに含まれる細菌が肺で炎症を引き起こす 細菌性肺炎 です。 実は、食べ物だけでなく「唾液」も大きな原因となります。特に寝ている間に、むせることなく唾液が気道へ流れ込んでしまうことで肺炎が起こるケースも少なくありません。 2. なぜ「予防」がこれほど重要なのか 誤嚥性肺炎は、単に「肺が苦しくなる病気」だけでは済まない、大きなリスクを抱えています。 高い死亡率: 高齢者にとって非常に命に関わる疾患です。 負の連鎖: 一度発症すると、肺炎そのものが治った後も、「食べる力(嚥下機能)」「身体機能」「認知機能」が大きく低下してしまうことがあります。 つまり、肺炎を繰り返すことで、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)が一段ずつ階段を降
2月10日読了時間: 2分


在宅医療を科学する14~なかなか治らないおむつかぶれ、実は「IAD(失禁関連皮膚炎)」かもしれません
在宅療養において、ご家族や介護スタッフ様を悩ませるトラブルの一つに「皮膚の赤みやただれ」があります。「いつものおむつかぶれかな?」と市販薬を塗ってもなかなか改善しない場合、それは単なる“かぶれ”ではなく、IAD(失禁関連皮膚炎)という状態かもしれません。 今回は、治療に難渋したある女性のケースを通して、IADの正体とその対策について解説します。 1. 治療に難渋した症例(Case 2) ある女性の患者様は、偽膜性腸炎や尿路感染症を繰り返し、入退院を重ねておられました。ようやく自宅退院となりましたが、その後、皮膚の状態が急激に悪化してしまったのです。 ご家族や訪問スタッフが、抗菌外用剤や抗真菌外用剤、最新のドレッシング材(被覆材)、さらには水分を弾く撥水系外用剤など、あらゆる手段を試しました。しかし、皮膚の状態は一向に改善せず、広範囲にわたる強い赤み(紅斑)や、皮膚が剥けてジュクジュクとした「びらん」が広がってしまいました。 2. IAD(失禁関連皮膚炎)とは何か? この患者様のように、尿や便(あるいはその両方)が長時間皮膚に接触し続けることで生じ
2月9日読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する68~【専門医解説】認知症で「食べてくれない」時の向き合い方――原因の理解と攻めの食支援
認知症が進むと、単に食欲がないだけでなく、「食べ方がわからない」「途中で止まってしまう」といった特有の症状が現れます。これらは本人の意志ではなく、脳の障害によるものです。 今回は、認知症の種類ごとの特徴と、最後まで「その人らしく」食べるための工夫を解説します。 1. 認知症の種類で変わる「食べられない理由」 認知症にはいくつかのタイプがあり、それぞれ食事場面での困りごとが異なります。 アルツハイマー型 (AD) : 進行とともに「食べ物であること」がわからなくなったり、道具の使い方がわからなくなったりします(失認・失行)。 レビー小体型 (DLB) : 幻視(虫がいる等)で食べられなくなったり、パーキンソン症状による飲み込みの障害(嚥下障害)が強く出ることがあります。 前頭側頭型 (FTLD) : 同じものばかり食べる「常同行動」や、食習慣が極端に変化することがあります。 血管性 (VaD) : 脳の障害部位によって、飲み込みの麻痺や、食べ物への認識障害が個人差大きく現れます。 2. FASTステージから見る「食の支援」の目安...
2月9日読了時間: 3分


在宅医療を科学する14~治療に難渋する皮膚炎:在宅復帰後に直面した広範な紅斑とびらんへのアプローチ
在宅医療の現場では、病院での治療を経て帰宅された後、急激な身体の変化に直面することがあります。今回は、退院後に皮膚症状が悪化し、多角的な治療を試みても改善に難渋したある女性の症例をご紹介します。 1. 患者様の背景(病歴) この患者様は、もともと「偽膜性腸炎」や「尿路感染症」を繰り返しており、入退院を頻繁に重ねておられました。感染症との戦いが続くなか、ようやく自宅退院を迎えられたという背景があります。 2. 自宅退院後の急激な悪化 住み慣れた自宅へ戻られた後、残念ながら皮膚炎が増悪してしまいました。その症状は非常に重く、単なる赤みを超え、以下のような深刻な状態を呈しました。 広範な紅斑: 皮膚の広い範囲が赤く腫れ上がる。 びらん: 皮膚の表面が剥がれ落ち、ジュクジュクとした「ただれ」が生じる。 3. 試みられた治療と直面した困難 在宅チームでは、標準的な皮膚科的治療を含め、あらゆる手段を講じました。 外用剤の活用: 抗菌外用剤や抗真菌外用剤など、感染を疑ったアプローチ。 物理的保護: ドレッシング材(被覆材)による患部の保護。 外部刺激の
2月8日読了時間: 2分


攻めの栄養療法を科学する67~【専門医解説】医薬品栄養剤を使いこなす!在宅での「攻めの栄養療法」
在宅医療や施設への入所・退院の際、「医薬品の栄養剤(処方薬)」しか選択できない場面に遭遇することがあります。医薬品栄養剤は、単なる「薬」ではなく、工夫次第で非常に強力な栄養支援ツールになります。 今回は、経済的なメリットや、美味しく摂取するための具体的な工夫について解説します。 1. 医薬品栄養剤を選ぶ最大のメリット:経済的負担の軽減 在宅で「食品タイプ」の栄養剤を使用する場合、全額自己負担となります。一方、「医薬品タイプ」は医療保険が適用されるため、自己負担額を劇的に抑えることが可能です。 負担額の差 : 例えば1日1,000kcalを摂取する場合、食品タイプでは月額約36,000円(全額負担)かかるのに対し、医薬品タイプ(3割負担)なら約7,500円程度で済む計算になります。その差は月間 28,000円以上 に及びます。 無料・低額になるケース : 生活保護世帯や身体障害者手帳(1・2級)をお持ちの方、所得の低い高齢者などは、さらに負担額が少なくなります。 2. 医薬品栄養剤のラインナップと特徴 医薬品栄養剤には、大きく分けて3つのタイプがあ
2月8日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する66~【専門医解説】お金をかけずに栄養を守る――在宅での「攻めの栄養管理」術
経済的にゆとりがない生活は、単なる「節約」の問題ではありません。病気や育児、高齢者の孤立など様々な要因が重なり、食事への意識が低下することで、気づかないうちに深刻な低栄養状態(BMI 20以下)に陥るリスクを孕んでいます。 今回は、限られた予算の中でも、工夫次第で実践できる「攻めの栄養管理」のポイントを解説します。 1. 経済的困窮が招く「栄養の質」の低下 貧困層では、多くの食品を揃えることが難しいため、食事の品数が減り、単調になりがちです。特に以下の問題が顕著です。 食事の簡略化 : 安価なおにぎりやパンだけで済ませてしまい、エネルギーやたんぱく質が欠乏します。 食料品アクセスの困難 : スーパーが遠い、足腰が弱くて買い物に行けないといった「食の砂漠化」が低栄養を加速させます。 2. 今日からできる!低コスト・高栄養の工夫 特定の高い健康食品を買う必要はありません。普段の選び方を少し変えるだけで、栄養バランスは整います。 たんぱく質を賢く選ぶ 安価な優等生を活用 : 卵、納豆、豆腐、厚揚げなどの大豆製品は安価で優秀なたんぱく源です。 惣菜・おに
2月7日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する65~【専門医解説】慢性腎臓病(CKD)の「攻めの栄養療法」:低栄養(PEW)を防ぎ筋肉を守る
慢性腎臓病(CKD)の食事療法といえば、かつては「厳しい制限」が中心でした。しかし現在では、過度な制限が原因で筋肉量や脂肪量が減少するPEW(タンパク・エネルギー消耗状態)に陥り、かえって予後を悪化させることが大きな課題となっています。 今回は、腎機能を守りつつ身体機能を維持するための「攻めの栄養管理」について解説します。 1. 低栄養(PEW)の早期発見と診断 PEWは保存期CKD患者の20〜80%に認められる非常に頻度の高い栄養障害です。以下の4項目のうち3つに該当するとPEWと診断されます。 生化学検査 : 血清アルブミン < 3.8g/dL など 体格 : BMI < 18.5kg/m² または 意図しない体重減少 筋肉量 : 筋肉消耗や上腕筋囲面積の低下 摂取量 : 意図しないエネルギー・タンパク質摂取不足 2. 「攻めの栄養管理」のポイント:エネルギーとタンパク質 CKDの重症度(ステージ) や活動量に応じて、適切な栄養量を設定します。 ① エネルギー:低栄養とサルコペニアの予防 目標 : 保存期で25〜35kcal/kg、透析期で3
2月6日読了時間: 3分


攻めの栄養療法を科学する64~【専門医解説】糖尿病でも「しっかり食べて、動く」――攻めの栄養管理の実践
糖尿病の食事療法といえば「厳しい制限」をイメージされるかもしれません。しかし、近年の研究では、過度な制限がサルコペニア(筋肉減少)やフレイル(虚弱)を招き、かえって予後を悪化させることがわかってきました。 今回は、健康寿命を延ばすための「攻めの栄養管理」の具体的なポイントを解説します。 1. エネルギー摂取量の新基準:制限から「適量」へ 従来の糖尿病食では「25〜30kcal/kg(標準体重)」が一般的でしたが、活動量が多い方や減量の必要がない方の場合は、日常生活や運動量に合わせ、**「30〜40kcal/kg」**での管理を検討します。 炭水化物 : 指示エネルギーの50〜60%を目安に、血糖変動を見ながら調整します。 たんぱく質 : 腎機能に問題がなければ、筋肉合成を促すために最低でも**1.0g/kg(標準体重)**を確保します。ポイントは、 3食均等に摂取すること です。これが良好な血糖コントロールへの近道となります。 脂質 : エネルギー比率の20〜30%を目標とします。脂質が25%を超える場合は、動脈硬化予防のため飽和脂肪酸を減らす工
2月5日読了時間: 3分


在宅医療を科学する11~正常血糖性ケトアシドーシス(euglycemic DKA)を知っていますか?
「血糖値が正常だから大丈夫」その思い込みが、思わぬ体調悪化を見逃す原因になるかもしれません。本日は、特にSGLT2阻害薬を服用中の方やそのご家族に知っておいていただきたい「正常血糖性ケトアシドーシス」について解説します。 1. 正常血糖性ケトアシドーシスとは? 通常、糖尿病の深刻な合併症である「ケトアシドーシス」は、著しい高血糖を伴います。しかし、特定の条件下では 血糖値がそれほど高くない(正常〜軽度上昇程度)にもかかわらず、血液が酸性に傾き(アシドーシス)、生命に関わる状態 になることがあります。これが「正常血糖性ケトアシドーシス(euglycemic DKA)」です。 2. 臨床的な特徴 この病態の最大の注意点は、一般的な血糖測定だけでは異常に気づきにくいことです。具体的な特徴は以下の通りです。 項目 特徴 血糖値 正常〜軽度上昇(≦250 mg/dL) ケトン体 高値 (血中β-ヒドロキシ酪酸の上昇) 血液 pH 低下(アシドーシス) HCO₃⁻ 低値 AG(アニオンギャップ) 増加 3. 注意すべきタイミング 一見元気そうに見えても、以下
2月5日読了時間: 2分
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