創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する19~【皮膚のバリア機能と褥瘡ケア:浸軟にご注意】
- 賢一 内田
- 6月29日
- 読了時間: 3分

褥瘡(じょくそう)周囲の皮膚は、創部からの滲出液(しんしゅつえき)に長時間さらされやすく、**「浸軟(しんなん)」**という状態に陥りやすくなります。
🔍 浸軟とは?皮膚が水分に長く接することで角質層がふやけ、細胞同士の結びつきが緩む現象です。これは例えば、お風呂に長く入ったあとのふやけた皮膚のような状態をイメージしてください。
🔓バリア機能が低下するとどうなる?
下の図の左側は「浸軟している皮膚」のイメージです。

水分を含みすぎた角質細胞は膨潤し、つながりが緩んで隙間が生じます。
その結果、本来は侵入を防げていたアレルゲンや微生物が入り込みやすくなります。
バリアが壊れた皮膚は、ちょっとした物理的刺激でも傷つきやすくなってしまうのです。
一方、右側の「正常な皮膚」では、皮脂膜と角質層がしっかりと守っており、外からの刺激や病原体の侵入を防いでいます。
💡褥瘡ケアの現場で注意したいこと
褥瘡ができやすい仙骨部や坐骨部は、排泄物やおむつのムレによる皮膚の汚染・湿潤のリスクが高くなります。また、ドレッシング材やテープの繰り返しの貼り替えによって、角質層が傷つき、さらにバリア機能が弱まってしまうことも。
✅ ポイント:
滲出液を適切に吸収する処置材を選ぶ
剥離刺激の少ないテープ・ドレッシングを使用
清潔保持と同時に、周囲皮膚の保湿・保護ケアも忘れずに
皮膚のバリア機能を守ることは、褥瘡の悪化を防ぐうえでとても大切です。創部だけでなく、その周囲の皮膚環境にもぜひ目を向けて、優しいケアを心がけていきましょう。🎥 YouTubeで在宅医療をやさしく学べます!📺 内田賢一の在宅医療チャンネル – YouTube高齢者医療・神経難病・終末期医療の視点を、やさしく・深く・わかりやすくお届けしています。
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