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誤嚥性肺炎を科学する54~薬剤の工夫──ポリファーマシーと副作用が摂食嚥下機能に与える影響を知る

  • 3 時間前
  • 読了時間: 3分

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薬剤の工夫──ポリファーマシーと副作用が摂食嚥下機能に与える影響を知る

第8章 3つの工夫 ③ 薬剤|p.88–89

Message

薬剤のなかには摂食嚥下機能に悪い影響を及ぼすものがある

高齢者はポリファーマシーになりがちなため、どのような薬を服用しているのかチェックしよう

直接的に誤嚥性肺炎を予防できる薬は現在のところ開発されていません。また、誤嚥性肺炎を直接治療する薬は感染症の治療に使われる抗菌薬だけです。摂食嚥下障害を治療できる薬も存在しません。しかし、摂食嚥下障害や誤嚥性肺炎には、「薬剤の工夫(調整)」が1つのオプションとして有効な場合があります

ポリファーマシーとは

多剤併用による有害事象をポリファーマシーとよびます。高齢者は併存疾患や疾病罹患率が高いためポリファーマシーになりがちです。さらに、加齢に伴う生理機能の低下や薬物分布の変化により、若年層の成人とは薬の半減期が長くなる傾向にあります。その結果、体に好ましくない影響が出やすくなります。

⚠️ ポリファーマシーが引き起こすリスク

ポリファーマシーは代謝速度低下・生理的変化・薬剤相互作用を通じて、脆弱性・死亡・ADL低下・転倒・食欲低下・副作用増加と関連することが、数多くの老年医学研究で立証されています。自覚的または他覚的に症状や兆候として出現していなくても、影響が出ている場合があることを知っておかなければなりません。

副作用(副反応)と摂食嚥下機能

ほとんどの薬は目的以外の意図しない効果も示します。これを一般的に副作用とよびます。副作用が摂食嚥下機能にとって逆によい作用としてはたらくこともあれば、悪い副作用としてはたらくこともあります。

◎ 嚥下機能によい副作用の例

  • ACE阻害薬による咳反射の改善

  • ドパミン系薬剤による嚥下反射の改善

  • 一部の漢方薬(半夏厚朴湯など)

✕ 嚥下機能に悪い副作用の例

  • 鎮静薬・抗不安薬による嚥下運動の緩慢化

  • 抗コリン薬による唾液分泌減少

  • 利尿薬・不眠症治療薬によるADL低下

まずは患者さんが定期内服薬としてどんな薬を服用しているのかをチェックしてください。もし摂食嚥下機能に悪い副作用をもつ薬を内服しているのであれば、その薬を減薬・中止できないか担当医や薬剤師らと検討しましょう。ポリファーマシーからの脱却にもなります。また、現在服用している薬を、摂食嚥下機能によい副作用をもつ薬に変更することができないかも検討しましょう。

包括的評価に薬剤師を巻き込む

薬の副作用や相互作用の専門家は薬剤師です。誤嚥性肺炎の患者さんだけでなく、入院中の高齢者または地域在住高齢者のポリファーマシーや副作用対策には、薬剤師を巻き込んだ情報・意見交換が有効です。

高齢者総合機能評価(CGA:Comprehensive Geriatric Assessment)

高齢者を多面的かつ包括的に評価する介入手法です。CGA には、服用している薬剤が適切かどうか、薬剤師らの専門家の意見を取り入れることも含まれています。CGA を実施することで、死亡や身体障害の減少、在院日数短縮、介護施設入所の減少といった高齢者にとって好ましい予後が期待できると証明されました。

  • 定期内服薬の一覧を確認する

  • 摂食嚥下機能に影響する薬がないかチェックする

  • 担当医・薬剤師と減薬・変薬を相談する

  • CGAを活用した包括的な薬剤評価を検討する

まとめ

誤嚥性肺炎を直接治療・予防する薬は現時点で存在しませんが、薬剤の調整が有効なオプションになります。高齢者のポリファーマシーに注意し、摂食嚥下機能に悪影響を与える薬の見直しを、薬剤師と連携しながら行いましょう。

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