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認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤6

  • 5 時間前
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アルツハイマー病の行動・心理症状(BPSD)への対処法

アルツハイマー病(AD)に伴う生活上の困難さは、記憶障害や失見当などの中核的な認知機能障害から、付随的な精神症状まで多岐にわたります。本稿では、ADに伴いやすい「もの盗られ妄想」「徘徊」「拒食・食欲低下」について、実際の症例とともにマネージメントを解説します。


現病歴

AD発症から2年経過した80歳代前半の女性。几帳面でプライドが高く、2年程前から物の置き忘れや内服薬の飲み忘れが増加。来院1年前に長年介護した娘が脳性麻痺で逝去。その後、三男夫婦と同居し、嫁が家事を担当。本人はテレビのリモコン・財布・アルバムを「泥棒が盗っていく」と強く訴え、数ヶ月後には嫁が犯人とするもの盗られ妄想が出現。嫁との関係悪化により受診となった。

対処例

背景に娘の死・嫁の同居という環境変化、自身の認知機能低下による役割喪失があると考え、家族関係の改善を目標に設定。嫁への心理教育を行い、介護保険を導入。週4回のデイサービス通所で嫁と本人が離れる時間を確保した結果、妄想は消失しなかったものの、強く訴える頻度は減少した。

現病歴

AD発症から3年経過した70歳代前半の男性。元来神経質で不眠傾向あり。退職後は写真(特に小型ジェット機)が趣味。発症後、記憶障害・失見当が顕在化し、夕方から夜にかけて「会社に行く」「セスナ機の写真を撮りに行く」などと言い出し、徒歩で外出。警察に保護される事態も発生した。

対処例

妻がGPS装置付き靴を用意し、居場所を追跡可能にしたことで捜索願の提出がなくなった。また、サーカディアンリズム調整を目的にデイサービスでの日中運動量を増加。オレキシン受容体拮抗薬(レンボレキサント)投与により、睡眠が改善し、徘徊頻度が大幅に減少した。

 

現病歴

50歳代前半で若年性ADを発症した60歳代前半の男性。発症8年後に入院加療となったが、入院直後から拒食が継続。胃カメラ・CT・嚥下評価で異常なし、うつ病の可能性もなかった。食事形態変更や食事介助でも効果なく、末梢静脈栄養・経管栄養も本人が自己抜去し、1ヶ月で体重が3kg減少した。

対処例

薄味の病院食が本人の味覚に合わない可能性を考慮し、家族が自宅で慣れ親しんだケチャップ・梅干し・ふりかけを持参。これらを使って食事提供すると食事量が急増し、1ヶ月以内に体重が元のレベルに回復した。その後、自宅での生活が困難なため介護施設へ転居し療養を継続。


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