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認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤40~「正常圧水頭症(NPH)」とは?歩行・排尿・認知の三徴候を見逃さない

  • 22 時間前
  • 読了時間: 2分
「最近、歩くのが遅くなった」「おもらしが増えた」「ぼーっとしている時間が多い」―― こうした3つの症状が重なったとき、正常圧水頭症(NPH)を疑ってください。 シャント手術で症状が改善する「治療できる認知症」の代表的疾患であり、 早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。
「最近、歩くのが遅くなった」「おもらしが増えた」「ぼーっとしている時間が多い」―― こうした3つの症状が重なったとき、正常圧水頭症(NPH)を疑ってください。 シャント手術で症状が改善する「治療できる認知症」の代表的疾患であり、 早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。

 正常圧水頭症(NPH)とは

NPHは、脳脊髄液の過剰な貯留により脳室が拡大し、 歩行障害・認知機能障害・排尿障害の三徴候を呈する疾患です。 「正常圧」とあるように、髄液圧は正常範囲内(通常は12 cmH₂O以下)であることが特徴です。

原因が特定されない特発性NPH(iNPH)は60歳以上の高齢者に多く、 くも膜下出血・髄膜炎・頭部外傷などが原因となる二次性NPHもあります。 iNPHはシャント造設術(髄液を腹腔や心房に排出する手術)により症状の改善が期待でき、 「Treatable(治療可能)な認知症」の代表として重要です。

 三徴候の特徴
 三徴候の特徴
 iNPHの認知機能障害の特徴 ―アルツハイマー病との違い
 iNPHの認知機能障害の特徴 ―アルツハイマー病との違い

項目

iNPH

アルツハイマー病

精神運動速度の低下

目立つ(早期から)

比較的軽度

注意・遂行機能障害

顕著

中等度

作業記憶の低下

目立つ

比較的軽度

見当識障害

比較的軽度

早期から出現

エピソード記憶

比較的保たれる

早期から障害

アパシー

70〜100%(高率)

あり(中等度)

※ なお、iNPHはアルツハイマー病との合併病理が多く、合併すると認知障害が高度になり治療効果が乏しくなる可能性がある。

診断のポイント

診断基準(iNPH診療ガイドライン第3版)

 治療と予後
 治療と予後

シャント造設術の効果

シャント術後には注意・集中力や精神運動速度の改善が期待されます。 歩行は改善しやすく、アパシーの改善も認められ、日常生活・趣味活動への再参加につながる重要な変化です。 一方、記憶障害の回復には個人差があり、Alzheimer病の合併がある場合は効果が乏しいこともあります。

 在宅医療・訪問診療における役割
 在宅医療・訪問診療における役割

iNPHは、訪問診療で定期的に患者さんを診ている在宅医こそが 最初に気づける疾患です。 歩行の変化・トイレの失敗・意欲の低下は「加齢のせい」と見過ごされがちですが、 これら三徴候が揃ってきたときに疑う視点が重要です。


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