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認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤39~慢性硬膜下血腫(CSDH)」とは?治療で回復できる認知機能低下を見逃さない

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分
「最近、言葉が出にくい」「ぼーっとしている」「急に歩き方がおかしくなった」―― こうした変化を"認知症のはじまり"と見過ごしてしまうことがあります。 しかし、原因が慢性硬膜下血腫(CSDH)であれば、 適切な治療で症状が劇的に改善する「Treatable(治療可能)な認知症」です。 在宅医療の現場でも必ず念頭に置くべき重要疾患を解説します。
「最近、言葉が出にくい」「ぼーっとしている」「急に歩き方がおかしくなった」―― こうした変化を"認知症のはじまり"と見過ごしてしまうことがあります。 しかし、原因が慢性硬膜下血腫(CSDH)であれば、 適切な治療で症状が劇的に改善する「Treatable(治療可能)な認知症」です。 在宅医療の現場でも必ず念頭に置くべき重要疾患を解説します。

慢性硬膜下血腫(CSDH)とは

CSDHは、頭部への外傷から数週間〜数カ月後に 硬膜(脳を覆う膜)の内側に血液がゆっくりと貯留する疾患です。 多くは軽微な頭部外傷がきっかけですが、本人が転倒に気づいていない場合や、 外傷歴がはっきりしないケースも少なくありません

血腫が大きくなるにつれて脳が圧迫され、認知機能低下・歩行障害・片麻痺・頭痛などを呈します。 しかし手術(穿頭ドレナージ)で血腫を除去すると、劇的に症状が改善することも多く、 「治療できる認知症」として重要です。

 疫学・リスク因子

CSDHは特に高齢者に多く、人口の高齢化とともに増加しています。

 主な症状と認知機能への影響
 主な症状と認知機能への影響

CSDHにおける認知機能障害の有病率は約45%と高く、 治療可能な認知症として積極的に鑑別が必要です。

症状カテゴリ

具体的な症状

特徴・注意点

認知機能障害

物忘れ、言葉が出にくい、理解が遅い

比較的急性〜亜急性に進行することが多い

前頭葉機能障害

意欲低下(アパシー)、注意散漫、話が冗長、ルール保持困難

失語に見える場合もある

運動症状

片麻痺、歩行障害、ふらつき

CSDH側の対側に出現。転倒の原因にも

頭痛

慢性的な頭重感、前頭部痛

高齢者は訴えが乏しいこともある

意識障害

傾眠、反応が鈍い

高齢者では軽度にとどまることが多い

※ 認知機能低下の回復は術後3カ月で評価することが推奨されており(麻酔・手術の影響が少ないタイミング)、中長期フォローが重要です。

 診断のポイント

画像診断(頭部CT・MRI)

頭部CTで硬膜下の三日月形血腫を確認します。 慢性期では比較的均一な低〜等信号(CTで暗く見える)を示し、急性出血との合併では高信号部分が混在します。 血腫が1cm以上、または症状がある場合は手術適応となります。

術後にMRI T2*強調画像でヘモジデリン沈着を確認することで、 過去のCSDHの証拠が残ることもあります。

 治療・マネージメント
 治療・マネージメント

① 内科的管理

  • 抗凝固療法・抗血小板療法の中止(CSDHのリスク因子であり、再発予防のため)

  • 必要に応じて抗てんかん薬の開始

  • 小さな血腫で無症状の場合は経過観察も選択肢

② 外科的治療(穿頭ドレナージ)

  • 局所麻酔で施行可能な比較的低侵襲な手術

  • 血腫1cm以上・症状あり → 原則手術適応

  • 再発率は約10〜20%であり、術後も注意深い経過観察が必要

  • 抗凝固薬の再開時期については個別に慎重に検討

③ 術後フォローと認知機能評価

術後すぐには認知機能の完全な回復が難しいこともあります。 本症例のように術後1カ月以上、認知機能低下が続く場合は、 不可逆的な変化の可能性や変性性認知症の合併も考慮し、 術後3カ月をめどに神経心理学的評価を再度行うことが推奨されます。

 在宅医療・訪問診療における役割
 在宅医療・訪問診療における役割

CSDHは、訪問診療の現場でこそ「早期発見」の鍵を握ることができます。 定期訪問で患者さんの日常の変化を継続的に把握できる在宅医は、 急激な認知機能低下・歩行障害・アパシーに最初に気づける立場にあります。


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