認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤37~「隠れ脳梗塞」と言われていたのに認知症が進行 — HDLS/ALSPという成人発症白質脳症を知る
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隠れ脳梗塞」と言われていたのに認知症が進行— HDLS/ALSPという成人発症白質脳症を知る
さくら在宅クリニック(逗子市)神奈川県逗子市
5年前の脳ドックで「深部白質に隠れ脳梗塞あり」と言われ、その後じわじわと言葉が出なくなり、仕事を辞めざるを得なくなった40歳代の女性。その背景に「HDLS/ALSP」という、ミクログリアの機能異常が本質的な病態である遺伝性白質脳症が潜んでいました。
症例の概要
患者は40歳代半ばの女性。5年前の脳ドックで深部白質に「隠れ脳梗塞」を指摘。2年前から喚語困難・精神運動速度遅延が進行し、最近退職。アパシー(ぼーっとテレビを観る時間が増加)も目立っていた。

HDLS(hereditary diffuse leukoencephalopathy with axonal spheroids)またはALSP(adult-onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented glia)は、CSF1R遺伝子のヘテロ接合性変異が原因の常染色体顕性遺伝の成人発症白質脳症です。近年は「CSF1R関連白質脳症」とも呼ばれ、2018年に診断基準が提案され指定難病(特定疾患)に認定されています。
CSF1R(colony stimulating factor 1 receptor)は主にミクログリアに発現し、その分化・増殖・存続に必須の分子です。この変異によるミクログリアの機能異常がHDLS/ALSPの本質的な病態と考えられています。
典型的な臨床経過
40歳前後(発症初期)
認知機能障害(遂行機能・精神運動速度)、行動異常、アパシーが先行。喚語困難・失語が出現することも。
数年後
パーキンソニズム・錐体路徴候・運動失調が加わる。転倒が増加し歩行困難へ。けいれん発作を合併することもある。
4〜6年後
偽性球麻痺による嚥下障害・誤嚥性肺炎が出現。
約5年(平均)
失外套症候群(apallic syndrome)に至る。
診断に重要なMRI・CT所見


目立つ症状
精神運動速度遅延
遂行機能障害(プランニング・セットシフト)
行動異常・アパシー
喚語困難・失語(低親密度語)
比較的保たれる機能
近時記憶(初期〜中期)
見当識(初期〜中期)
語の理解(短文)
復唱
HDLS/ALSPの認知機能障害は「皮質下性認知症・前頭葉機能障害」が特徴です。失語・失行・半側空間無視・脳梁離断症状などの局所症状が病変部位によっては出現することもあります。
診断・治療のポイント







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