top of page

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤35~静的脳症」の子が成人で急速に悪化したら— NBIA・SENDAという希少難病を知る

  • 2 時間前
  • 読了時間: 2分

在宅医療さくら在宅クリニック逗子市NBIASENDA脳内鉄沈着神経変性症WDR45遺伝子若年性認知症二相性神経変性希少難病

 

「静的脳症」の子が成人で急速に悪化したら— NBIA・SENDAという希少難病を知る

子どもの頃からてんかんと知的障害があり、「非進行性の発達障害」として経過していた女性が、30歳代から急速にパーキンソニズム・認知機能低下が進行。この「二相性経過」が希少難病「SENDA(NBIAの一亜型)」の典型的な姿でした。MRIの特徴的な所見と遺伝子解析が診断の決め手となりました。

症例の概要

患者は来院時40歳代前半の女性。1歳7か月時にてんかん発作で受診し抗てんかん薬を開始。3歳時に簡単な意思疎通は可能だったが2語文以上は困難で、養護学校→授産所と経過。30歳から易怒性・場所の見当識障害が出現し、35歳で発語減少・動作緩慢、40歳前から歩行全介助となり来院。

SENDAに特徴的な「二相性経過」
SENDAに特徴的な「二相性経過」
NBIAの主要病型と画像所見の比較
NBIAの主要病型と画像所見の比較

疾患名

責任遺伝子

発症時期

特徴的なMRI所見

その他の特徴

PKAN(NBIA1)

PANK2

幼児期(1〜6歳)

T2淡蒼球にeye of the tiger sign

小児発症ジストニア・視神経萎縮

PLAN(NBIA2)

PLA2G6

乳児期〜幼児期

小脳萎縮+淡蒼球・黒質の鉄沈着

乳児期発症・精神運動退行・小脳症状

ニューロフェリチノパチー(NBIA3)

FTL

成人期(20歳以降)

T2低信号→進行で高信号(尾状核・淡蒼球)

成人発症・舞踏運動・低フェリチン血症

MPAN(NBIA4)

C19orf12

小児期(6〜12歳)

黒質・淡蒼球に縞状低信号・大脳小脳萎縮

ジストニア+認知障害・視神経萎縮

BPAN/SENDA(NBIA5)

WDR45

小児期(静的)→成人期(進行)

T1黒質にhalo sign・黒質>淡蒼球の鉄沈着

女性優位・二相性経過・de novo変異

CoPAN(NBIA6)

COASY

小児期(5〜10歳)

T2淡蒼球の低信号・石灰化もあり

小児発症ジストニア・構語障害・緩徐進行

診断の決め手:MRIとエクソーム解析

血清フェリチンが著明低値(本症例では3 ng/mL)を示しつつも組織内に鉄が沈着するという「乖離所見」は、鉄の取り込み・分配・貯蔵のいずれかに異常があることを示唆し、病態解明の糸口となる可能性があります。
血清フェリチンが著明低値(本症例では3 ng/mL)を示しつつも組織内に鉄が沈着するという「乖離所見」は、鉄の取り込み・分配・貯蔵のいずれかに異常があることを示唆し、病態解明の糸口となる可能性があります。

既存のNBIA遺伝子検査で異常がない場合は、次世代エクソーム解析によるWDR45変異の検索が有用です。本症例はde novo変異(両親からの遺伝ではない新規変異)であることがサンガー法で確認されました。

在宅医療での対応

根治療法は現時点では存在せず、対症療法が中心です。L-ドパに一時的な反応を示す例もありますが、持続効果は限定的で、日内変動やジスキネジアが問題となることもあります。

さくら在宅クリニック
さくら在宅クリニック

神奈川県逗子市 | 在宅医療・訪問診療


コメント


© 2021 湘南在宅研究所 All Rights Reserved.

情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬を処方しておりません

bottom of page