認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤34~舞踏運動+小脳失調+認知症が重なったら— 日本に多い遺伝性難病「DRPLA」を知る
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舞踏運動+小脳失調+認知症が重なったら— 日本に多い遺伝性難病「DRPLA」を知る

症例の概要
患者は60歳代の女性。40歳代初めに「あとをつけられる」妄想が出現し職場退職。40歳代半ばに歩行困難・不随意運動・構音障害が加わり、受診時には舞踏運動・小脳失調・失見当識・認知症(MMSE 13/30)が明らかでした。

DRPLAはATN1(Atrophin-1)遺伝子のCAGリピートの異常伸長によって発症する常染色体顕性遺伝の小脳性運動失調症です。歯状核・赤核・淡蒼球・ルイ体(視床下核)が主に変性します。日本の有病率は10万人中0.48人と推定されており、欧米より日本人に多い疾患です。
指定難病(脊髄小脳変性症)として医療費助成の対象
発症年齢による3つの病型


DRPLAの認知機能低下は進行性で、疾患末期には高度の認知症を呈します。失語・失行・失認などの大脳皮質巣症状を欠き、忘れっぽさ・思考過程の緩徐化・無関心または抑うつ・獲得した知識の利用障害という4つの特徴を示す「皮質下性認知症」に該当します。

1
抗てんかん薬によるけいれん発作の治療(若年型では特に重要)
2
抗精神病薬による精神症状の治療(妄想・易刺激性・脱抑制行動など)
3
リルゾールやリハビリテーション療法を用いた失調に対する対症療法
4
認知症の程度に応じた環境と介護の整備(在宅ケアチームとの連携が鍵)
遺伝カウンセリングと特定疾患申請
DRPLA患者の子がCAGリピートを受け継ぐリスクは50%です。子へ伝達されるリピートの大きさは両親のリピート数と伝達する親の性別に依存します。父親からの遺伝ではリピートが大きく伸長しやすく、表現促進現象(世代を経るごとに発症年齢が低下)が生じます。
家族歴がない場合でも、血縁者での疾患の見落としや発症前に親が死亡した可能性を考慮する必要があります。遺伝子検査の前に、血縁者を含めた専門機関での丁寧な遺伝カウンセリングが必須です。また、DRPLAは指定難病「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」として認定されており、医療費助成の対象となります。

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