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精神疾患を科学する 在宅医療で関わる精神疾患について③~

  • 1 日前
  • 読了時間: 5分
#精神症状#思考の障害#観念奔逸#滅裂思考#思考制止#思考途絶#思考化声#迂遠#統合失調症#うつ病#躁うつ病#在宅医療#さくら在宅クリニック
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思考の障害とは

思考の流れや順序がおかしくなるのを思考過程の障害、思考の内容や体験がおかしくなるのを思考体験の障害といいます。

思考の障害が強いと、まともに会話ができない状態になります。軽度の思考障害であれば、病的とは思われずに変な人だと周囲に煙たがられることもあるかもしれません。
思考の障害が強いと、まともに会話ができない状態になります。軽度の思考障害であれば、病的とは思われずに変な人だと周囲に煙たがられることもあるかもしれません。

原則は知覚の障害と同様に、きちんと話を聴くことです。

余談ですが、患者さんの突飛な発言に対し、何らかの感情が表情に出やすい人は、マスクをつけて会話をしてもいいかもしれません。

思考過程の障害

観念奔逸

[かんねんほんいつ]

よくみられるケース躁状態(例:躁うつ病)

話題が次々に脱線して


言いたいことにたどり着かない

観念奔逸は、おもに躁状態でみられる、次々に話が脱線して飛躍していく症状です。部分的に関連性がある話が次々と続いていき、脱線していきます。

おしゃべりをしていてテンションが上がったときに脱線してしまうことがありますが、それとかなり似ています。

思考過程の障害

滅裂思考

[めつれつしこう]

よくみられるケース統合失調症

おしゃべりの内容が


関連のない話題にどんどん変わる

滅裂思考は、統合失調症でみられる症状です。観念奔逸は脱線していきますが、滅裂思考は話に関連性がありません。

聞いているほうは何を言っているのかわからずイライラすることがあります。しかし、患者さん本人も頭のなかで言いたいことがまとまらなくて、伝えたいことが伝わらず理解してもらえないことから苦痛を感じています。症状が軽い場合を連合弛緩といいます。

話題どうしに関連性がなく、てんでばらばらの方向へ進んでいく

思考過程の障害

思考制止

[しこうせいし]

よくみられるケースうつ状態(例:うつ病)

本人はアクセル全開のつもりでも


動きも会話も思考も超スローにみえてしまう

うつ状態でしばしばみられます。うつ病の9つある診断基準の1つでもあります。「制止」という名前がついているのにストップではなく、実際はスローな感じになります。動きもスローになりますし、会話もスローになりますし、頭の回転もスローになります。頭が回っていないのでアイデアも思い浮かびません。

まわりからするとじれったいのですが、本人はアクセルを全開にしてそのスピードなので、遅くみえてもかなり疲弊しています。人によってはアクセル全開のつもりなので、スピードが落ちている自覚がない人もいます。それゆえ、まわりからみるとトロトロしているようにみえてしまいます。そんなとき、「やる気あるの?」などと言われてしまうと、患者さんは大変へこむことになります。

超スローにみえる
超スローにみえる

思考過程の障害

思考途絶

[しこうとぜつ]

よくみられるケース統合失調症

突然、考えがストップしてしまう


プツプツ途切れる会話が特徴的

考えが急にストップするという統合失調症の症状です。思考制止がスローだとしたら、思考途絶はストップです。近年、統合失調症は軽度な人が多くなってきており、通院レベルの人ではみかけにくい症状かもしれません。

数秒プッツリ思考が途切れることもありますが、1秒前後プツプツ途切れる人もいます。「えっと……、あの……、その……」というようなプツプツ途切れる話しかたは、聞いているほうはじれったくなりますが、症状の1つなのでいくら正すように伝えても、本人にはコントロールできないのです。



思考過程の障害

思考化声(考想化声)

[しこうかせい(こうそうかせい)]

よくみられるケース統合失調症

考えが声になって聞こえると感じるので


怖くて外に出られなくなってしまうことも

思考化声(考想化声)は、自分の考えが声となって聞こえるため、思考の障害として分類されることも、幻聴(知覚の障害)と分類されることもあります。自分の考えが声となり人に伝わってしまうと思い、外に出られずにひきこもってしまう患者さんもいます。

電車の中で、「あの人すごいイケメンだなぁ」なんて声が漏れたら恥ずかしいですし、バイトの憧れの先輩の前で「先輩、いつも大好きです!」なんて声が出たら翌日からバイトに行けなくなる人もいるでしょう。自分の考えが人に悟られるように思う、恐ろしい症状です。

分類①:思考の障害として分類②:幻聴(知覚の障害)として

 

思考過程の障害

迂遠

[うえん]

よくみられるケース認知症/不安症

言いたいことにはたどり着くものの


とにかく話が長くなる

一言で言えば、話が回りくどい状態です。話が長いのは観念奔逸と似ているかもしれませんが、迂遠は観念奔逸と違い、最終的には言いたいことにたどり着きます。

一般的には、認知症などの脳そのものにダメージがある疾患、いわゆる脳器質性疾患でみられる症状です。正常者でも、高齢者や不安が強い人にみられることがあります。

例えば、面接などで前の職場を辞めた理由を聞かれるとします。

とシンプルに言えばいいところを、
とシンプルに言えばいいところを、
というような話をしてしまう、これが迂遠です。
というような話をしてしまう、これが迂遠です。

本人に悪気はないのです。ただ、周囲の人は話が長すぎて何を話したいのかわからないので、一緒に仕事をしたり、プライベートで会話するのを避けたがることが多いです。

 

まとめ
まとめ
  • 思考の流れや順序がおかしくなるのが思考過程の障害、思考の内容や体験がおかしくなるのが思考体験の障害

  • 観念奔逸(躁状態):話が部分的なつながりを保ちながら次々に脱線し、言いたいことにたどり着かない

  • 滅裂思考(統合失調症):話に関連性がなく、てんでばらばらの話題に変わる。軽症型は連合弛緩

  • 思考制止(うつ状態):本人は全力でも、動き・会話・思考が周囲からは超スローにみえる

  • 思考途絶(統合失調症):考えが急にプツッとストップする。本人にはコントロールできない

  • 思考化声/考想化声(統合失調症):自分の考えが声になって聞こえ、人に伝わると感じて外出を恐れることもある

  • 迂遠(認知症・不安症):話は長く回りくどいが、最終的には言いたいことにたどり着く

  • いずれの症状も対応の原則は同じ。患者さんの話をきちんと聴く姿勢を大切にする


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