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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する12~エコーで“見える”排尿管理:評価・判断の具体的手技編

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 8月1日
  • 読了時間: 2分

1. 膀胱内尿量(残尿量)の評価法

● なぜ測定が重要?

排尿障害の原因には「貯留(蓄尿障害)」と「排出困難(排出障害)」があり、残尿量の有無・程度を把握することで病態の違いが明らかになります。

● 残尿量の計算方法(図5)

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膀胱内の三径(縦・横・上下)を測定し、以下の式で算出:

膀胱内尿量(mL)= a × b × c ÷ 2

  • a:左右径(横断像)

  • b:上下径(縦断像)

  • c:前後径(横断像)

📌 成人で残尿が100mL以上あれば「残尿あり」、高齢者では50mL以上で「残尿あり」と判断されます。

● 高齢者では「残尿50mL」でも要注意な理由(コラム)

  • 膀胱感覚が鈍く、残尿に自覚がない

  • 歩行や排尿行動の制限で頻回にトイレに行けず「頻尿」と誤認されることも

  • サインを見逃さないためにも、数値での可視化が必要!

2. 膀胱・前立腺の形態観察

● 観察ポイント(図6・7)

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  • 膀胱結石や腫瘍の有無(強エコー・音響シャドウ)

  • 前立腺肥大による形態変化

  • 膀胱壁の肥厚(>5mm以上で異常の可能性)

● 前立腺体積の計算式(図7下段)

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前立腺体積(mL)= a × b × c × π ÷ 6

前立腺の体積が20mL未満なら正常、50mL以上なら重度肥大と評価されます。

3. 骨盤底筋訓練(PFMT)のバイオフィードバック活用

● 実際の活用方法(図8)

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  • 膀胱内に約200mLの尿を貯留させた状態で骨盤底筋を収縮

  • 正常な収縮では「膀胱頸部が引き上がる」所見が得られる

  • 腹筋が過剰に使われると「子宮や腹部が下がる」ように見え、不適切な収縮と判断される

✅ 高齢者や失禁患者にも、正しい訓練効果を“見せながら”確認できる教育的ツールとして活用できます。

4. 尿道カテーテルの位置確認

● 誤留置リスクとエコーによる確認(図9)

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  • カテーテルバルーンが膀胱内に描出されていれば正しく留置されている証拠

  • 横断像・縦断像両方で観察し、**高エコーリングと無エコー(生理食塩水)**が確認されるかをチェック

💡 誤って尿道内にバルーンが残ると出血や痛み、尿漏れを引き起こすため、挿入直後の確認が非常に重要です。

まとめ:見えない排尿を「見える化」することで、ケアが変わる

評価項目

エコーで得られる情報

残尿量

膀胱内尿量の定量評価(50〜100mL以上で要注意)

膀胱壁・前立腺

結石・腫瘍・肥大の有無

骨盤底筋

適切な収縮ができているかの確認

カテーテル

正しく膀胱内に留置されているか

「排尿トラブル」はQOLを左右するテーマ。エコーは非侵襲で、安全に、そして正確に“尿の見える化”を可能にします。

現場でのスクリーニングから在宅支援、リハビリ指導まで、ぜひご活用ください。

 
 
 

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