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嚥下内視鏡による誤嚥しているかどうかの評価(高齢者の誤嚥性肺炎を防ぐために)

在宅医療における患者様の大きな課題の一つに『食べる』という課題があります

高齢者、担癌患者様、難病患者様の『食べる』ことの問題点は


① 食べることができない(嚥下=飲み込む機能の低下)

② 食べたくない(癌や老年期うつなどの様々な病気の影響で食べるという欲求が低下)

③ 食べられない(胃を摘出している、腹水が溜まっているなどの食べ物の通り道が障害されている)


②、③に関しては医療的側面からのアプローチで改善を試みる部分と考えます。


一方、①の食べることができない(嚥下=飲み込む機能の低下)に関しては、現在の食べているものが適切か、ポジションが適切か、摂取したものが速やかに食道を通過しているか評価可能です。

適切に評価する方法の一つとして嚥下内視鏡があります。嚥下内視鏡の大きな利点は在宅=ご自宅で評価できることです。検査のイメージは鼻から内視鏡を挿入して食道や気管の手前で、食べ物が通過する状態を診ます。正確には、完全に飲み込む瞬間はホワイトアウトという状態になるので観察が難しいのですが、嚥下している状態を最も正確に評価できる方法です。

難しい言葉が続きましたが、分かり易く説明するならば

モグモグする(咀嚼する)



ゴックンする(咽頭から食道へ送り込む)




嚥下内視鏡の目的は

問診と診察結果から推察したことを 検証する

適切な食形態について、実際に色々食べてもらって検討する

誤嚥はないのか? 誤嚥のリスクはないのか? を観察する ことです。

① における診察所見では

・口輪筋の左右差 ・舌運動は評価、左右差評価します。神経難病の患者さんではmyoclonusの有無も評価します。 ・軟口蓋の挙上、咽頭反射を診ます(この診察がとても重要です。研修医の頃は真面目に記載してましたが、最近疎かになっており、この観察も行います)。 ・空嚥下の評価

この評価が重要なのは、嚥下反射は問題ないけれどモグモグを続けている高齢者は非常に多いからです。『嚥下機能は問題ないのだけどなぁ、、』という高齢者医療で非常によく聞く言葉です。

実際の内視鏡では、こんな風に見えます。因みに、この景色は挿管(喉に呼吸のチューブを通すこと)の際にも見ます。なので数千回は見ている見慣れた景色です。




嚥下内視鏡では声帯の動きを確認し唾液や残渣を見ます。

「喉頭蓋谷」と「梨状窩」に残渣が溜まりやすいので要チェックポイントです。

「声帯」の奥の暗いところが気管。食べたものや飲んだものがここに入れば誤嚥です。

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逗子、葉山、横須賀、鎌倉を撮影される山内様の写真です

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