食欲不振の陰に「老年期うつ」?
- 賢一 内田
- 17 時間前
- 読了時間: 3分

高齢者の変化を見逃さない視点
今回は、施設に入居中の90代女性のケースを通じて、老年期うつ病の見落とされやすさと治療の可能性についてご紹介します。
🍽️ 半年前から始まった「食欲不振」
認知症あり
主食は完食できるが、副食は半分以上残す
飲み込みもつらそうで、口に食事をため込む様子
最初に疑ったのは、上部消化管の通過障害でしたが、お菓子など好物は問題なく摂取できるとのことで、器質的障害の可能性は低いと判断しました。
💊 食欲増進剤では効果が出ず…
食欲増進目的でドグマチール(スルピリド)50mgを処方しましたが、結果は逆効果。摂取量は全体の2〜3割にまで減少しました。
介護スタッフからは、
自室では少し食べる
活気がない
下を向いていることが多い
飲み込みがつらそう
といった観察が寄せられました。
🧠 見逃されやすい「老年期うつ病」
これらの所見から、老年期うつ病を疑い、トリンテリックス(ボルチオキセチン)10mgに切り替えましたが、効果なし。
ご家族と話し合い、「老衰として自然に看取ってほしい」との意向も確認しました。
🌈 驚きの改善:「リフレックス」が奏功
最後に試みたのが、リフレックス(ミルタザピン)15mg。すると、
✅ 表情が明るくなる✅ 食事を全量摂取できるまでに回復
明らかに反応が良好で、この患者さんにはリフレックスが適していたことが分かりました。
💡 他にも印象的だったケース
同様に、腰痛と寝返り困難のある高齢者に対してトラムセット(弱オピオイド)を処方したところ、強い嘔気が出現。その後、**ノバミン(プロクロルペラジン)**を併用した結果…
✨ 明らかに活気が出て、別人のように活動的に。
この患者さんも、身体症状の背後に「うつ状態」があったと再認識させられた症例でした。
👵 老年期うつ病とは?
高齢者の**約10%**に見られる
認知症とオーバーラップしやすい
不眠・食欲低下・自律神経症状などの身体症状が目立つ
希死念慮の訴えも珍しくない
その背景には、✅ 加齢による身体機能の低下✅ 配偶者や友人の死別✅ 社会的役割の喪失といった喪失体験が影響しています。
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📷 逗子在住・山内明徳様撮影
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