在宅医療を科学する74~肺扁平上皮癌術後再発後の倦怠感・食欲不振に対する鑑別診断のアプローチ
- 4月13日
- 読了時間: 2分


肺扁平上皮癌術後再発後の患者に見られる倦怠感・食欲不振の増悪。その背景に何が隠れているのか――。下記の3つの病態が主要な鑑別診断として想定されました。
1

がん関連倦怠感CRF: cancer-related fatigue
肺扁平上皮癌術後再発後の経過において、PET-CT にて再発所見なしであったものの、倦怠感が持続していました。
以下の要因の関与が検討されました:
炎症マーカーCRP 高値
代謝異常あり(疑い)
サイトカインIL-6など異常
PET-CT再発なし
腫瘍随伴性炎症・代謝異常・サイトカイン異常(IL-6など)の関与も検討されましたが、画像上の再発所見は確認されませんでした。
2

副腎機能抑制・ステロイド離脱症候群
デカドロン減量・中止の経緯と症状悪化のタイミングが一致していました:
デカドロン使用歴あり→1mg→0.5mg へ減量→中止
倦怠感・食欲不振が悪化したタイミングと減量・中止のタイミングが一致しており、相対的副腎不全が疑われました。
ACTH正常値
その他副腎関連検査正常範囲内
検査値上は正常範囲であったものの、ステロイド長期使用後の相対的副腎不全を念頭に置いた慎重な経過観察が必要です。
3

電解質異常(特に低Na)
Na値が持続的に低下しており、低ナトリウム血症が確認されました:
Na値(持続的)123〜129 mEq/L
以下の2疾患が鑑別として挙がりました:
SIADH抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
CSWS脳性塩喪失症候群
ADH(抗利尿ホルモン)正常範囲内
肺扁平上皮癌に伴うSIADHは典型的な合併症として知られており、本症例においても重要な鑑別として位置付けられます。ADHが正常範囲であったことは解釈を複雑にしますが、傍腫瘍症候群としての可能性は引き続き念頭に置く必要があります。

鑑別のポイントまとめ
がん関連倦怠感(CRF)はPET-CTで再発なしでも、炎症・代謝・サイトカイン異常が背景にあり得る
ステロイド(デカドロン)の減量・中止タイミングと症状悪化の一致は、相対的副腎不全を強く示唆する
ACTH正常でも完全に副腎機能抑制を否定できない点に注意
Na 123〜129 mEq/Lという持続的低Na血症は症状の主因となり得る重要な所見
肺扁平上皮癌に伴うSIADHは典型的合併症であり、鑑別の筆頭に挙げるべき
SIADH vs CSWS の鑑別には尿中Na・尿浸透圧・体液量評価が鍵となる




コメント