パーキンソン病を科学する4ー①~αシヌクレインとミトコンドリア──パーキンソン病を読み解く鍵
- 賢一 内田
- 2 日前
- 読了時間: 3分

パーキンソン病の発症メカニズムにはさまざまな仮説がありますが、その中でも注目されているのが「αシヌクレインとミトコンドリアの相互作用」です。
このタンパク質がどのようにミトコンドリアに影響を与え、神経細胞の変性を引き起こすのか?ここでは、最新の研究知見をもとに、簡単にご紹介します。
■ なぜαシヌクレインが問題なのか?
αシヌクレインは、神経細胞内で正常に存在するタンパク質ですが、異常に蓄積すると「レビー小体」と呼ばれる構造を形成し、神経細胞にダメージを与えます。
とくに黒質緻密部のドパミン神経細胞はこの影響を受けやすく、これがパーキンソン病の主要な運動症状に関与していると考えられています。
■ αシヌクレインがミトコンドリアに与える6つの影響
① ミトコンドリア内への移行
異常なαシヌクレインはミトコンドリアの外膜に結合し、トランスロカーゼ複合体(TOM/TIM)を介して内部に入り込みます。
② 膜透過性の異常
ミトコンドリア膜のバリア機能が障害され、膜電位の低下や膜損傷が起こります。
③ エネルギー産生の低下
酸化的リン酸化(OXPHOS)系、特に複合体Iの障害によってATP産生能が落ち、神経細胞のエネルギー不足につながります。
④ 活性酸素(ROS)の増加
ミトコンドリアの機能異常からROSが発生し、細胞に酸化ストレスを与えます。
⑤ ミトコンドリアの動態異常
ミトコンドリアの分裂や融合のバランスが崩れることで、細胞内ネットワークが不安定になります。
⑥ ミトファジー(自食作用)の障害
本来は損傷したミトコンドリアを排除するPINK1/Parkin経路が抑制され、異常なミトコンドリアが蓄積します。
■ 治療の可能性と今後の展望
こうしたミトコンドリア障害は、ドパミン神経の選択的脆弱性や病態の進行と密接に関係しています。
そのため、近年では次のような治療戦略が模索されています。
活性酸素を除去する抗酸化療法
PINK1/Parkin経路を活性化し、ミトファジーを促す治療
αシヌクレイン自体の分解を促進する薬剤の開発
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