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パーキンソン病を科学する25②~

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 6月17日
  • 読了時間: 3分


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【パーキンソン病治療】基本はL-DOPA。その“効かせ方”をどう工夫するか?

パーキンソン病の治療において、中核をなすのがL-DOPA(レボドパ)製剤です。これはドーパミンの前駆体であり、脳内でドーパミンに変換されることで、運動症状の改善をもたらします。

しかし、長期使用に伴う「効果時間の短縮」や「ウェアリングオフ現象(効果切れ)」への対応が課題となってきます。

■ 他剤の役割は「L-DOPAを最大限に活かすこと」

L-DOPA単独では限界があるため、補助的な薬剤が併用されます。以下のような薬剤群は、L-DOPAの作用時間を延ばす・効きの安定性を高める・効果の谷間を埋めるといった役割を果たします。

🔸 MAO-B阻害薬(モノアミン酸化酵素B型阻害薬)

  • 作用:L-DOPAの分解を防ぎ、脳内でのドーパミン濃度を維持

  • 代表薬:セレギリン、ラサギリンなど

  • タイミング:**L-DOPA効果の“ピーク維持”**に有効

🔸 COMT阻害薬(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害薬)

  • 作用:末梢でのL-DOPAの代謝を抑制し、血中濃度を安定化

  • 代表薬:エンタカポン、オピカポンなど

  • タイミング:**L-DOPA効果の“立ち上がりと持続”**を改善

🔸 その他の補助薬

  • アデノシンA2A受容体拮抗薬:イストラデフィリン

  • ドパミンD2受容体作動薬:ロピニロール、プラミペキソールなど

  • ゾニサミド:抗てんかん薬ながら、L-DOPAの作用延長に寄与

■ 治療戦略の考え方:薬を“足す”のではなく“調整”する

L-DOPAを中心に、**「どのように効かせるか」「効果をどう維持するか」「効かない時間帯をどう埋めるか」**がパーキンソン病治療の鍵になります。

薬剤を追加する際には、効果の時間帯・症状の出方・副作用などを丁寧に見極めながら、最小限で最大限の効果を目指します。

■ まとめ:L-DOPAの“基礎力”を引き出す補助薬たち

目的

使われる薬剤

分解抑制で効果を伸ばす

MAO-B阻害薬、COMT阻害薬

効果の立ち上がりを補う

COMT阻害薬、ドパミンアゴニスト

オフ時間を減らす

A2A受容体拮抗薬、ゾニサミドなど

患者さんごとに最適な治療設計を考えながら、L-DOPAを“どう活かすか”が治療の核心です。🌸 さくら在宅クリニックの取り組み

当院では、パーキンソン病やALSなどの神経難病がんの終末期医療に特化した在宅医療を、逗子・葉山・横須賀・鎌倉エリアを中心に展開しています。

医師・訪問看護師・ケアマネジャーが連携し、**「住み慣れた自宅で、安心して過ごす」**ための医療と支援を提供しています。

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