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【在宅医療の現場から】胸水貯留に対する在宅ドレナージの実際と注意点

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 2025年6月14日
  • 読了時間: 3分

在宅医療の現場では、がん性胸水をはじめとした胸水貯留に伴う呼吸苦を抱える患者さんに対応することが少なくありません。近年、在宅でも胸水の排液(間欠的・持続的いずれも)を行うケースが増えており、当院でも常時数名の患者さんに対応しています。

今回は、在宅で行う胸水ドレナージの方法・利点・リスクについて、簡単にまとめてみます。

🔍 在宅で医療的に行える胸水貯留への対応

  1. 利尿薬による胸水コントロール → ただし、利尿薬の効果はアルブミンと結合して発揮されるため、低アルブミン血症の患者さんでは効果が限定的です。

  2. 呼吸苦の緩和 → 在宅酸素療法や、モルヒネなどのオピオイド使用により呼吸困難感を緩和します。

  3. 胸水の直接排液(胸腔ドレナージ) → 本記事の中心となる対応です。

💡 胸腔ドレナージの基本と在宅での実践

✅ 使用されるカテーテルの種類

  • ソラシックカテーテル → 単純なストロー構造。持続排液に適します。

  • マルチチャンネルカテーテル → 複数経路により閉塞予防に優れます。

  • ソラシックエッグ → タマゴ状の貯留器に陰圧がかかる構造。逆流防止弁付きで在宅でも使用可能。

  • アプピレーションキット → 極めて簡素な構造。短期的な排液に使用。

🩹 排液方法:間欠 vs. 持続

  • 間欠的排液: 都度カテーテル(または針)を挿入し排液。感染リスクは低いが、処置の都度負担あり。

  • 持続的排液: カテーテルを留置し、定期的に排液。感染や気胸のリスクに留意が必要です。

⚠️ 合併症として最も注意すべき「気胸」

胸腔内は陰圧構造のため、誤って空気が侵入すると**肺がしぼんでしまう「気胸」**という重大な合併症が発生します。これを防ぐため、

  • 水封式システム

  • 一方弁付き排液バッグ(チェストドレーンバッグ)

などを使用して、空気は入れず、胸水だけを外に出す工夫をします。

在宅では**電源不要・軽量な排液バッグ(例:ソラシックエッグ)**が特に有用です。

🏠 在宅でのX線対応と当院の工夫

合併症の早期発見にはレントゲン撮影が不可欠です。当院では、わずか3.5kgの携帯型X線装置を使用し、在宅でも迅速な撮影と評価を可能にしています。

👨‍⚕️ 院長からひとこと

胸水ドレナージは本来、病院で行う処置のイメージが強いかもしれませんが、在宅で安全に実施するための体制・技術が年々進化しています。当院では医師・看護師・薬剤師が密に連携し、ご自宅で安心して過ごせる環境づくりをお手伝いしています。

🎥 YouTubeで学ぶ在宅医療

訪問診療の現場での気づきや対応を、医師がわかりやすく動画で解説しています。▶︎ 内田賢一の在宅医療チャンネル – YouTube

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