高齢者の薬の「効きすぎ」を防ぐには?
- 賢一 内田
- 8 時間前
- 読了時間: 2分

クレアチニンクリアランスで腎機能を正しく評価する大切さ
高齢になると、腎臓の働きが少しずつ弱くなってくる方が多くなります。そんな中、腎臓で代謝される薬をそのままの量で使ってしまうと、体からうまく排泄されずに血中濃度が上がり、効きすぎてしまうことがあります。そのため、腎機能に応じて薬の量を調整することが非常に重要です。
「血清クレアチニン値」だけでは判断できない理由
腎機能を知るために、血液検査の「クレアチニン値」を参考にすることが多いですが、実はこの値は筋肉の量に影響されるという特性があります。つまり、筋肉量の少ない高齢者では、クレアチニン値が低めに出てしまい、腎機能が良いように見えてしまうことがあるのです。
正確な評価には「クレアチニンクリアランス」が必要
そこで活用したいのが、**クレアチニンクリアランス(Ccr)**です。これは腎臓が老廃物をどれだけ効率よく排出できているかを数値で表したもので、多くの薬の添付文書でも、このCcr値を基に投与量が決められています。
自宅でも使える「コッククロフト・ゴールト式」
病院での24時間尿測定は大変ですが、次の式を使えばCcrを簡単に推算することができます。
クレアチニンクリアランス(Ccr)推算式:
男性: (140 − 年齢) × 体重(kg) ÷ (72 × 血清クレアチニン値)
女性: 上記 × 0.85
この計算式は覚える必要はありません。ネットやアプリで**「クレアチニンクリアランス 計算」**と検索すれば、すぐに自動計算してくれる便利なツールが多数あります。
「eGFR」で過信しないことが大事
最近では血液検査結果に「eGFR(推算糸球体濾過量)」が自動的に記載されていることも多く、これで腎機能を判断してしまいがちです。
ですが、eGFRは標準体格を前提とした推定値のため、小柄な高齢者に当てはめると腎機能を過大評価してしまい、薬が効きすぎる原因になることがあります。私自身も現場ではついeGFRを参考にしてしまいますが、やはり薬剤投与の際にはクレアチニンクリアランスを意識して評価することが大切だと感じています。
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🔗 さくら在宅クリニック公式サイト(逗子・葉山・横須賀・鎌倉)はこちら📸 撮影協力:逗子在住 山内明徳様
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