誤嚥性肺炎を科学する64~抗コリン作用をもつ薬剤や利尿薬は、唾液を減少させ口腔衛生を悪化させる可能性がある。減薬を検討し、難しい場合は機能的口腔ケアや口腔内保湿を行おう
- 2 時間前
- 読了時間: 4分

悪影響を及ぼす可能性のある薬(1)唾液編
抗コリン作用・利尿薬と摂食嚥下機能への影響
Message
抗コリン作用をもつ薬剤や利尿薬は、唾液を減少させ口腔衛生を悪化させる可能性がある。減薬を検討し、難しい場合は機能的口腔ケアや口腔内保湿を行おう
唾液はその方がもつ食べる機能を十分に発揮するために欠かすことができないものです。唾液の作用には、抗菌作用・粘膜保護作用(湿潤作用)・自浄作用といった感染防御にかかわる作用と潤滑作用といった運動機能にかかわる作用があります。つまり唾液が減少するような副作用のある薬剤は、このような唾液の作用を減弱させる可能性をもっていることになります。口腔内が乾燥しやすい方で、唾液が減少する可能性のある内服薬を連日服用している場合は、減薬できないかよく検討すべきです。
抗コリン作用
唾液分泌は自律神経によってコントロールされています。抗コリン作用をもつ薬剤は、この外分泌能に抑制的にはたらきます。
⚠ 代表的な抗コリン薬
・過活動膀胱に処方されることがある薬剤・古い世代の抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)・不眠症などに処方されることがあるベンゾジアゼピン系薬を代表とする向精神薬これらを高齢者が漫然と内服していることがあります。
詳しく抗コリン作用を検討したい方は、抗コリンリスクスケール(Anticholinergic Risk Scale)を参照してください(表8-1)。抗コリン作用の強弱が確認できます。
利尿薬
利尿薬は循環血液量を減少させ、唾液分泌量も少なくなることが知られています。利尿薬を服用している方は、唾液分泌量の低下を反映して、時に口渇を訴えます。
📌 高齢者への注意点
高齢者では唾液分泌が低下したからといって必ずしも口渇を自覚しませんので、口渇だけで唾液量減少を判断するのには注意が必要です。
唾液が減少している症状(舌背の乾燥、食渣が多いなど)を呈している方で、利尿薬を服用中の場合は、減量が可能かどうかを総合的に判断していく必要があります。
減薬ができない場合は、唾液腺マッサージを含む機能的口腔ケア(26〜31ページ)や頻回の保清を行い、口腔内保湿(24〜25ページ)を心がけるようにしましょう。
表 8-1抗コリンリスクスケール
数値が高いほど抗コリン作用が強く、唾液分泌への影響が大きくなります。処方薬の確認にお役立てください。
3点(最強リスク)
トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)
アトロピン(アトロピン硫酸塩水和物)
トフラニール®(イミプラミン塩酸塩)
ポラキス®(オキシブチニン塩酸塩)
ポラミン® ほか(クロルフェニラミン)
コントミン®(クロルプロマジン)
ペリアクチン(シプロヘプタジン塩酸塩水和物)
コランチル合剤(ジサイクロミン塩酸塩・乾燥水酸化アルミニウムゲル・酸化マグネシウム)
レスタミンコーワ(ジフェンヒドラミン塩酸塩)
テルネリン®(チザニジン塩酸塩)
アタラックス®(ヒドロキシジン)
ロートエキス(ヒヨスチアミン、スコポラミン)
フルメジン®(フルフェナジンマレイン酸塩)
ピレチア®(プロメタジン塩酸塩)
ピーゼットシー®
2点(強リスク)
シンメトレル®(アマンタジン塩酸塩)
ジプレキサ®(オランザピン)
タガメット®(シメチジン)
ジルテック®(セチリジン塩酸塩)
デトルシトール®(酒石酸トルテロジン)
ノリトレン®(ノルトリプチリン塩酸塩)
リオレサール®(バクロフェン)
ノバミン®(プロクロルペラジン)
ロペミン®(ロペラミド塩酸塩)
クラリチン®(ロラタジン)
クロザリル®(クロザピン)
1点(中リスク)
コムタン®(エンタカポン)
ネオドパストン®(合剤)
セロクエル®(クエチアピンフマル酸塩)
エフピー®(セレギリン塩酸塩)
デジレル®(トラゾドン塩酸塩)
セレネース®(ハロペリドール)
パキシル®(パロキセチン塩酸塩水和物)
ビ・シフロール®(プラミペキソール塩酸塩水和物)
レメロン®(ミルタザピン)
ロバキシン®(メトカルバモール)
プリンペラン®(メトクロプラミド)
ザンタック®(ラニチジン塩酸塩)
リスパダール®(リスペリドン)
〔Rudolph JL, Salow MJ, Angelini MC, et al : The Anticholinergic Risk Scale and Anticholinergic Adverse Effects in Older Persons. Archives of Internal Medicine 168(5):508-513, 2008. を抜粋〕
Tags




コメント