認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤7
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Lewy小体型認知症(DLB)の多彩な症状と個別マネージメント
Lewy小体型認知症(DLB)のマネージメント上の問題は、認知機能障害・精神症状・運動症状・自律神経障害など多岐にわたり、本人の生活上の困難のみならず、家族介護者の疲弊をきたすことも多い。本稿では、DLBに多い幻覚・誤認・妄想・意識レベルの変動・抑うつ症状のマネージメントを3症例とともに解説する。
現病歴・初診時現症
70歳代初めの女性。ADLはほぼ自立し、夫と買い物を日課としていた。数年前から「部屋の中で暗がりに知らない人が立っている」「ネズミが走りまわっている」などの幻視が反復。半年前から「夫が浮気をしている」と非難する嫉妬妄想が出現。MMSEは21/30点で軽度の筋強剛・前傾姿勢を認めた。幻視が嫉妬妄想のきっかけとなった可能性が高く、精査でDLBと診断。


70歳代初めの男性。3年前から話の辻褄が合わなくなり、日中に白昼夢のような発言が数時間続く一方、その後は普通に会話できることもあった。ある日、昼寝中に全く反応がなくなり救急搬送。救急外来では支離滅裂な発話・軽度の筋強剛を認め、脳波では8〜9 Hzのslow α波を観察。意識障害精査のため入院となった。
入院後経過
ドネペジル投与により1週間程度で日中の意識が安定。廃用症候群・パーキンソニズムによる歩行障害に対しリハビリを行い、3週間で5mの歩行器歩行が可能となりリハビリ病院へ転院。

現病歴・初診時現症
70歳代半ばの男性。DLB診断から4年経過。50歳代より双極性障害でオランザピン10mgを継続。立ちくらみや歩行転倒が増えたため神経内科紹介。初診時、仮面様顔貌・動作緩慢・小刻み歩行・両上肢筋強剛・姿勢反射障害を認め、MMSE 19/30点。注意障害や視空間認知障害が目立った。
入院後経過
オランザピン漸減中止で歩行改善。しかし抑うつ悪化・昏迷状態となり、修正型電気けいれん療法(m-ECT)を計11回施行し寛解。その後「火事が起きている」などの幻視出現のためドネペジル3→5mgへ増量し改善。


DLBは認知機能障害・精神症状・運動症状・自律神経症状・睡眠障害など多彩な症状をもち、患者ごとに複数の問題を抱えることが多い。マネージメントは非薬物療法と薬物療法を組み合わせ、多様な症状に目を向けて個々の症例に合わせた治療目標を設定することが重要。
非薬物療法
幻視は常に治療が必要とは限らず、害がなければ様子をみてよい場合も多い。パレイドリアを誘発する実在物品を減らし、室内を簡素・明るくする環境調整が有効。嫉妬妄想には「認知症における嫉妬妄想治療マニュアル」にもとづき、配偶者の単独外出を減らす・デイサービス活用・患者を尊重する声かけ・多職種介入などを行う。抑うつ・アパシーには適切な社会的・環境的刺激が効果的な場合がある。
薬物療法
ドネペジルは本邦でDLBの認知症状進行抑制に保険適用。幻覚・妄想へのセカンドラインとして抗精神病薬(オフラベル)使用の場合、過敏性による過鎮静・パーキンソニズム悪化に注意。比較的安全とされるのはクエチアピン・アリピプラゾール。抑うつにはSSRI/SNRIにエビデンス(Parkinson病での知見)。抗コリン作用をもつ三環系抗うつ薬は避けることが望ましい。





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